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晩年

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太宰治『晩年』(日本近代文学館、ほるぷ出版、二〇〇四年)。半月ほど前、太秦のブックオフで見かけたのだが、迷った末に買わなかった。500円だった。数日前に『日本古書通信』940号が届いたなかに龍生書林・大場啓志氏がこの「晩年」との因縁話を執筆しておられ、たいそう興味深く読んだので、今日、また出かけて買って帰った。

大場氏には『三島由紀夫の古本屋の書誌学』(ワイズ出版、一九九八年)という著書もあるように特定の作家の刊行物などを徹底的に集める嗜癖があるようだ。太宰の場合は、『晩年』(砂子屋書房、一九三六年)の帯付を手に入れたことがきっかけで初版本七十二冊を揃えた(一九八五年)。そしてその後、興味は三島に移っていたものの、太宰の美本二十数冊一括を落札したことでふたたびより高次元の太宰コンプリートの情熱が甦る。

一九九五年に京都で開催された全連大市会にて『晩年』の帯付アンカット極美本を三〇〇万円に近い金額で競り落とす(これは阪神大震災直後の大市)。さらには初出雑誌や追悼雑誌も集めようとしたが、さすがのプロでもこれには限界があった。結局、二〇〇四年、自家目録五十号記念に初版本と関連書一五六冊を七七九万円で掲載して売却したそうである。

《果たしてこの売価、高かったのか安かったのか。/普段付値には自信もあり、責任も持てるのだが、十年もかけた一括商品は唯一の例外である。/このときの「晩年」極美本は、今でも強く印象に残っている。》

砂子屋書房版『晩年』には表紙の違う再版、三版(一九三七年)と新版(一九四一年)がある。ちなみに砂子屋はほんとうは「まなごや」と読むそうだ。誰も読んでくれないので「すなごや」でも良いとした。発行人山崎剛平は播州赤穂の上郡出身。山崎家は広大な田畑塩田を所有し砂子(まなご)で酒造業(砂子屋酒店、後、山崎商店)も営んでいた。剛平は早稲田の国文を出て文筆のかたわら昭和十年から十八年まで良質な文芸出版を行った。

比較にもならないが、この復刻版も帯付アンカット極美本である。(ちなみに、アンカットとは、製本の際に化粧断ちせず、ペーパーナイフなどで各ページを切りながら読んでいくもの、英語では Deckle Edge または Uncut と呼ぶ)

÷

Mさんより古本メール。

《「先生とわたし」評には私も膝を打ちました。なんだか不満だったのはそのことだったのかも。由良君美の「古本本」は大事にしています。
 昨日今日の古本便りです。神戸で「定本三島由紀夫書誌」を買いました。三島の熱心な読者でもありませんが、以前から1冊2千円の均一箱に入っていて安いなあと思っていただけが、昨日は魔がさしたといいますか、箱から出して開いたら原稿用紙が入っていました。古書店の目録を切り取って貼り付けさらに書き込みもしてあり、目録も1種類ではなく三島本の相場の原稿のようです。そして、原稿用紙はサバト館専用のものでした。今日は天牛本店へ。店頭で「ノーサイド特集異色の父と子100組」を150円。表紙の魯庵と巌の写真がなんとも。2階の100円コーナーで鈴木信太郎「フランス詩法上巻」白水社函欠ながら1950年にしては雰囲気もよくパラ付きできれい。三島「橋づくし」再版裸本は昨日の今日ということで。もう1冊は「ジョンスン 英文学ハンドブック�21」、こちらはボズウェルの伝記(文庫)読了以来少々集めています。
 今週は芦屋の美術館ですが、お出かけでしょうか。》

いやいや、お盛んですね。芦屋へは初日に出かけようと思っています。
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by sumus_co | 2007-11-18 20:56 | 古書日録
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