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和多久志

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『和多久志』第十号(蘆田四酔荘、大正十六年一月一日)。止水芦田安一の個人雑誌。文庫サイズより少し小さいくらい。大正九年から昭和三年にかけて十一冊刊行されている。大正十五年は年末に改元となったため奥付は大正十六年のまま。すでに報告したように百万遍で第六号を見つけたので、他にもないか探してみると、日本の古本屋にこの十号が出ていた。

芦田家は代々鴻池家に仕えていたそうだ。芦田止水は大阪に生れ岸和田中学から早稲田大学を出ているが、東京にいたころ、淡島寒月と親しく交わってその風変わりな趣味生活に感化された。六号にも寒月の紹介記事があるし、十号には「故淡島寒月翁追悼会記」が載っている。これは止水の発案で大阪天下茶屋の「楽園」で大正十五年九月十九日に催されたもの。石割松太郎、高安吸江、南木萍水、川崎巨泉、三好米吉らが発起人となり、寒月翁を偲ぶ品物の展覧会やオランダ情緒の異国茶会も開かれた。「楽園」というのは止水の自邸庭園らしく、一般にも公開していたようだが、この十月で閉鎖するという広告が巻末に出ている。

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当日の記念写真。《折柄来阪のスタール博士は前橋通訳を同伴せられて一層盛会を呈しました》とある。人物説明はないが、スタール博士は前列少女の横(向かって左)に坐る羽織袴の老人だろう。他の顔ぶれも同定できれば面白いのだが……。

フレデリック・スタールはシカゴ大学の人類学者。明治37年(1904)アイヌ研究を目的として初来日。以来、日本に親しみ、五ツ星紋の羽織、仙台平の袴に白足袋をはき、東京納札会に入って、自ら「寿多有」の納札を作り、日本各地の神社仏閣を行脚、「お札博士」と称された。昭和8年、東京聖路加病院にて歿。

いつの時代も風流な外国人がいるものである。

÷

塩山御大の『東京の暴れん坊』は好調な滑り出しのようで何より。昨日『記録』11月号が届いた。今月は車谷長吉の『物狂ほしけれ』(平凡社、二〇〇七年)をバッサリ、返す刀で『百鬼園先生よもやま話』(旺文社文庫、一九八七年)の座談に喰ってかかっている。

《基本的には、永井荷風と同じく戦前で終わってる人なのに(名士扱いされて浮かれてる、『阿房列車』シリーズなど、山口瞳的というか、不愉快で退屈極まりない)。戦前と戦後の落差に、座頭市となっている読者や物書きが多すぎる》

いや、この点はまったく同感。『ノラや』や『日没閉門』などを読んだときにガッカリしたのを思い出した。ただし、作家というのは傑作ばかり書くわけにはいかない。駄作も書き、名声に浮かれ、老醜をさらしてこそ一人前である(?)。

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本日午後、某氏と打ち合わせ。本を一冊作ろうとしているのだが、予想外の難航なり。執筆方針をイチから検討し直す。たのみますよ!

這ふ蟲をひねりつぶして指寒し
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by sumus_co | 2007-11-07 20:44 | 古書日録
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