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林蘊蓄斎の書物な日々
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ONE MILLION YEARS


ギャルリーワタリ…ON SUNDAYSで一九八三年十月二十七日から十一月三十日まで開催された河原温の個展パンフレット。むろんワタリウム美術館(一九九〇年開館)以前のことだが、この展示はこれまで見て来た美術展のなかでも五本の指に入ると思うぐらいショックだった。だからこのパンフも大事にとってある(当時購入したもの)。

《本「百万年」ー人類最後の一人にー》という副題がついている。狭い画廊には黒い本が十冊、細長いテーブルの上に置いてあった。本というか、タイプライターで年号を打ち込んだ紙を綴じてあるだけ。

1984AD 1985AD 1986AD 1987AD 1988AD 1989AD 1990AD 1991AD 1992AD 1993AD 1994AD 1995AD 1996AD 1997AD 1998AD 1999AD 2000AD 

これが一頁目。一行が十年、出だし三年分を空けて二行に最下段に配置されている。次からは毎頁全面にこの続きの年号が並んでいる。第一巻は101500ADまで。そして十巻目で1001983ADに至る。おそるべき作品だと思った。河原温はまず間違いなく現在サイコーの日本人美術家である(本人は国籍にこだわることを嫌う)。以前も書いたかも知れないが、彼のデート・ペインティング(黒いキャンバスに白い文字で日付を書いた作品)は、絶対無理だろうけど、一点欲しい。

このパンフの執筆者がなかなかである。細野晴臣、山口昌男、金沢一志(澤でないことに注目)、三木多聞(美術評論家)。河原温はプライベートを明かさない作家としても知られているが、宮内勝典『グリニッジの光を離れて』のなかに宮内が河原のアトリエを訪問した様子が記録されていて、今となってはたいへん貴重な証言と目されているようだ。三木氏はそれを引用した後にこう書いている。

《普段の交遊でとくに変わったところがあるわけでなく、将棋や麻雀は好きらしい。ただ画廊のオープニングやアーチストのステュディオでのパーティでは見かけたことがない。いや自分の個展のオープニング・パーティにも出席しないらしい》

自分の個展のオープニングに出たくないというのは分かる気もする。河原温は一九三三年生れとされているから、もう七十四歳である。一九九八年に東京都現代美術館で回顧展があったようだ。

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終日、雨。必要あって水彩画を描く。雨だと空気が湿気を含んでいて画面が乾きにくくなる。仕方ないのでヘヤ・ドライヤーで乾燥させながら制作。まあ、なんとかなった。

÷

ナベツマが近所の飼い犬を手なづけた。彼女がその家の前で小さく「チッチ」と舌を鳴らすと家の中にいたエリザベス(勝手につけた名前、メスの柴)が少しだけ開いている玄関戸をこじ開けて「キューン」と言いながら走りよって来る。門扉のところでヨシヨシと愛撫してやるだけで、べつにおやつを与えるわけでもない。犬はさびしがりやなのだ(家族はたいてい留守のよう)。
by sumus_co | 2007-07-14 18:19 | 雲遅空想美術館 | Trackback | Comments(0)
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