E.ダネンス『ファン・アイク ゲントの祭壇画』(アート・イン・コンテクスト1、黒江光彦訳、みすず書房、一九七八年)。元版はペンギン・ブックス。本書に記載されているアート・イン・コンテクスト続刊の予定のなかには『ピエロ・デラ・フランチェスカ 笞打ち』(長谷川三郎訳)、『デュシャン 彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも』(瀧口修造訳)もある。ただし後者は瀧口訳ではなく東野芳明訳で一九八一年に出たようだ。
この一冊から、美術作品をどのように見る、あるいは読み解くか、ということを学んだ。ファン・アイクは西洋絵画のひとつの頂点だと思えた。後にベルギーの小都市ゲント(ガン)の狭い礼拝堂で、間近に見たときにはやはりその密度に驚いたけれど、帰りのバスに載っていた女学生が祭壇画に描かれているエヴァそっくりだったことの方が強く印象に残っている。
本文のあちこちに鉛筆で囲みがついている。例えば、こんなところ。
《ゲントの祭壇画には18冊を下らない本が描かれているが、これは決して偶然のことではない》
ふうむ、若きウンチクはすでに絵のなかの本というテーマを意識していたようだ。
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ある仕事の打ち合わせで河原町通今出川下るの「李青」という喫茶店へ出向く。本物の韓国のアンティークがうまく店舗に活かされている店。飲み物や食品にも伝統に新しい工夫が加味されていた。おたべガイド参照。