林蘊蓄斎の文画な日々
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Cézanne

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ROGER FRY『Cézanne a study of his developement』(Hogarth Press, 1927)。英国の美術評論家ロジャー・フライの『セザンヌ』(ホガース・プレス)、これは中島俊郎氏が先日のトークバトルのときに秘蔵書として公開せてくださった一冊。 フライはニューヨークのメトロポリタン美術館のキュレイターとして、大富豪で同館の理事だったJ.P.モーガン(モルガン)に招かれ、一九〇四年から一〇年まで働いた。彼はその任期中の一九〇六年に初めてポール・セザンヌの作品に接して衝撃を受けた。モーガンと意見を異にしてロンドンへ戻った後、 "Manet and the Post-Impressionists at the Grafton Galleries." という展覧会を組織したが、保守的な英国の鑑賞界からは酷評されたという。「後期印象派」という言葉はこのとき初めて公に用いられた。(中島先生のフライの書物を求めた苦難の物語も近刊『spin』02で読めます!)

昨日の新聞に出ていた液晶テレビの広告。サント・ヴィクトワール山の写真を大きく、セザンヌの絵を小さく、載せて《自然そのままの「美」の世界》などというおかしなコピーを付けていたけれど、セザンヌが「自然から学ぶ」と言っているのは何も《自然そのままの》表現を目指したというわけではない。それは絵を見れば誰にでも分かると思うのだが……。

エクス・アン・プロヴァンスのセザンヌのアトリエには一度だけ行ったことがある。わりと大きな建物の二階をほぼ全面使っていた。一九八〇年の一月だったか、まったく閑散としており、列車から見たサント・ヴィクトワール山は特別に絵心をそそるところもない白っぽい岩の突起であった。セザンヌが八十枚以上も描いたのはどうしてだろう。ありふれたリンゴを飽きもしないで描いているセザンヌにとって、自然の探求とは要するに自己の内面の探求に他ならなかった、そういうことかもしれない。

÷

りーちあーと最終日。夕方、撤収に出かけた(不在中に来て下さった皆様に深謝です)。今回もいろいろな新しい出会いがあってそれなりに有益な展覧だった。と、古本ソムリエ氏より電話がかかってきた。今日、氏が最近発見したスミカズの表紙画のある雑誌を持参してくれたそうだ。入れ違いになって、見られなくて残念だ、と思ったら、「今日の読売新聞の夕刊にこの雑誌のことが出ています」というではないか。さっそく駅の売店に走って入手すると、カラーでデカデカと紹介されている。

それは一九三六〜七年刊の農民雑誌『富民』(富民協会)十冊。今、国会図書館を検索すると『富民協会報』(1巻1号〜8巻1号、1929-1936)の後を受けて『富民』(8巻2号〜31巻3号、1936-1959)となったらしい。その後も『農業富民』『Fumin』と誌名を変えて継続されているようだ。スミカズらしい画風というわけではないが、この時期の仕事が見つかったことは貴重である。それにしてもソムリエ氏はネットを使って集めたそうだから、均一パトロールだけにとどまらないその眼力、おそるべし。
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by sumus_co | 2007-06-26 22:20 | 古書日録
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