林蘊蓄斎の文画な日々
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修善寺画卷

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引き続き『芥川龍之介全集』(岩波書店、一九三五年)。第十巻の書翰集をめくっていると、芥川のイラストが目に入った。大正十四年五月一日修善寺から佐佐木茂索宛書翰に同封された画である(上はごく一部)。手紙の方には「新曲修善寺」と題してあるから長唄(?)だろうか。夕方暗いところで見た芸者に昼間出会ったら、すごい面相で吃驚仰天してしまったという筋立て。作者は「いでゆすみえ太夫」。すみえは澄江堂。同日付けの小島政二郎宛葉書には「たばたやすみえ」と署名している。田端に住んでいるというダジャレ。

《君をはじめて御幸橋(みゆきばし)、酒のまぬ身のウウロン茶、カフエ、コカコラ、チヨコレエト、ヴイタミンCのありと言ふ緑茶はのめど忘られぬ君を芸者と菊屋にも、電燈ともる夕まぐれ……》

といった調子であるが、文中にコカコラと入っているのが貴重だ。高村光太郎の「狂者の詩」の「コカコオラ」(『白樺』大正元年十二月号初出時は「COCA COLA」)ほど華々しくはないものの、大正時代には明治屋が輸入して、ある程度普及していたことの証拠になる。

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ようよう額縁を壁に吊ったりするところまできた。金具などの小物を近所のドゥーイットの店で買ってもどったとき、ガレージの横の道に細長い紐が落ちていた。車を停めてよく見ると、蛇である。文字通り蛇行した形のまま動かない。黄緑がかったような褐色だった。長さは一メートルほど。ひょっとして自転車にでも敷かれたのではないかと思って車からおりて様子を見ようとしたら、スルスルッと溝の穴へ滑り込んでしまった。写真を撮っておけばよかった。

÷

昨日の雑談でアルトー鈴木氏から奢灞都館(さばとやかた)で三年ほど働いていたという話が出た。するとキャロル中島氏がちょうどその前日に東京へ出張しており、神田の「臥遊堂」という古書店で広政かをる女史を見かけたという。『彷書月刊』にも広政インタビューが出たけれど、奢灞都の刊本がズラリと並んでいたそうだ。臥遊堂の品揃えについてはJIMBOUで確認できる。
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by sumus_co | 2007-05-21 21:59 | 古書日録
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