「糖/THE BEST/COFFEE TO/HIRAOKA SEIZO」と読める。裏には説明文がるものの、錆びがレッテルを通して浮き出てきており、はっきり読み取れるのは「製造元 平岡屋 発売近藤」などわずかの文脈。いわゆる缶入り珈琲糖である。水明洞の前で100円だった。珈琲糖に関しては拙著『喫茶店の時代』(編集工房ノア、二〇〇二年)63頁以下を参照されたし。なお缶の高さ92ミリ、直径55ミリメートル。
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Mさんより久しぶりの古本メール。神戸、大阪、そして五月一日から勧業館だ。勧業館へは出かけたい。
《古書展「サンボーホールひょうご古本市」に行ってきました。共通の均一台が無いのが寂しいですが、各店の均一ばかり見て回りました。百円で「新日本歌集 金泥」吉井勇八雲書店は文庫サイズで中川一政装、アテネ文庫「パリ随想」湯浅年子、「サフオ」無想庵訳大正7年再版、「土曜夫人」織田作之助現代社昭和33年初版は痛み本で「版画装釘島実珠」のルビは「しまたまみ」?、以上4冊を買ったのみです。永田耕衣「吹毛集」石塚友二蔵印なんてのもありましたが、眼福に与るのみでした。
後藤書店店頭の文庫新書3冊200円で「ふところ手帖」正続中公文庫と「寺田寅彦」板垣鷹穂有信堂文化新書函欠を拾って帰ってきました。》
「版画装釘島実珠」はむろん「島珠実」の誤植でしょう。他に、坂口安吾『堕落論』(銀座出版社、一九四七年)、三枝康高『日本浪曼派の運動』(現代社、一九五九年)、菊村到『ゆがんだ月』(講談社、一九五九年)などの装幀を手がけています。日本版画院に属していたようです。
岸上大作の『意思表示』(白玉書房、一九五八年)もそうらしいです。
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