昨年の百万遍で買った大学ノート(日章)。出版広告ばかりをスクラップしてある。日付がほとんどないが、刊行物からおおよそ類推できる。初めの頁にある『増補改訂日本大蔵経』は一九七三年からだし、終わりの方には「岩波文庫創刊50周年記念」復刊の広告がある(一九七七年)。
上の写真は出版広告のなか混じって貼り込まれた数少ない新聞記事。「古本街」というコラムである(上右)。すぐ下の切抜きに見える『日本銀行史』第二巻は一九七五年刊行。だいたいその頃のものだろう。東京新宿のあるデパートで催された古書即売展について報告がなされている。
《もっとも目をひくのは昭和三十年代を中心とする子どもマンガの高騰ぶりで、『鉄腕アトム』ほか六十五点の総額が約七十万円。》
《探偵小説ブームを反映してか、横溝正史の本が最も高価で、『真珠郎』(昭12)の初版は三万八千円の値をつけていた。》
《結局、大衆文化・映像文化にどっぷりひたって育った世代がいまや購買力を持つようになって、マンガや映画の本に殺到しているといえよう。ブームはいつまで続くか疑問だが、古書愛好家の質は、大きく変わりつつある。》
『真珠郎』(昭12)初版三万八千円は現在ならいくらだろう。十倍にはなっているか(?)。ざっと三十年前。小生は大学生だった。思い出したが、気になる人の死亡記事をスクラップし始めた頃だ。このなかに一枚だけ割合と新しい新聞の切抜きが挿んであった。それは京都新聞一九九〇年十二月十八日の記事。
組織的な大量殺りく
旧日本軍を激しく糾弾
外交文書 独統一で日の目
ポツダムの公文書館に眠っていた在中国ドイツ大使館文書発見の報で、《南京大虐殺の模様を生々しく記録しているだけでなく、当時友好国同士だった日本とドイツとが水面下で繰り広げていた確執も余すところなく伝えている》というもの。旧蔵者はやはり戦中派で、何らかの感慨があったのかもしれない。
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山崎書店より「第4回ブック・アート展」開催(5月1日〜6日)、てづくりほん大募集の案内が届いた。昨年は出品できなかったのが、今年は、京都写真クラブの講座のために制作した本があるので、出品してみたい。参加作品は4月29日必着。詳しくは山崎書店まで。
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大根(おほね)載す自転車こげよ頬あつし
まだまだ貸家で悩んでいる。上京までに決めておきたかった。ほぼ決めるつもりだった家に不都合があったりと、迷走状態が続いている。