林蘊蓄斎の文画な日々
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銀座百点 第四十五号

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『銀座百点』第四十五号(銀座百店会、一九五八年九月)と百二十号(一九六四年十一月)を yoshiken 氏より頂戴する。深謝です。後者には、みゆき通りの三軒の画廊(文藝春秋画廊、中林画廊、フォルム画廊)で開催された初めての個展を記念して土方定一、植村鷹千代、中村鉄(中林画廊)による座談会「ひとりゆく画家・佐野繁次郎個展」が収録されている。

佐野繁次郎が表紙画を描いた『銀座百点』は全部で176冊あるそうだ。mixi の yoshiken 日記を引用すれば以下の通り。

《とうとう今日届いた分であと10冊となった。別途注文しているのがあり今週中にはあと1冊手に入る、残9冊となる。このところ手に入るものはいずれも1000円を超えている、只管買う1手。久し振りに熱くなる。蒐集の9割までのパワーと残り1割では同じパワーが必要とされる。一気にいくぞ!オー!》

ちなみにその残9冊とは、28、33、96、100、110、112、127、129、132 の各号である。

÷

関西人は「自分」という言葉を「自分 me myself」ではなく「君、お前」という意味で使う。怖いお兄さんが「われ、おちょくっとんのか!」と凄むときの「われ」もそう。「われ」は「我」だ。近世あたりの名残かと思っていたら、『宇治拾遺物語』に出ていることを知った。「以長物忌ノ事」にこうある。中島悦次校注(角川文庫、一九九五年三十一版)より。

 やうれ。おれらよ。めされてまゐるぞ。

「黙れ、お前ら、仕事で来たんじゃあ」とでも訳すか。以長(もちなが)という五位の蔵人が物忌をしているとき(要するに、日が悪いからと外出を慎んでいるとき)、上司の宇治左大臣に「世の中に物忌なんてものはないんだ」とむりやり呼び出されてしまった。ところがその十日後に左大臣がきつい物忌をした。僧侶以外は誰も屋敷に入れなかった。そこへ以長がやってきてガードマンを一喝したのがこのセリフなのである。

この後、以長は事務所に居座ってうるさくしゃべる。それを聞きとがめた左大臣が「どうして以長が入って来ているんだ?」と部下を調べにやらせた。すると以長がそれに答えて「物忌みなんてことは世の中にないんじゃなかったかなあ、ついこの間、そう言われましたぞー」と大声で答えたのが奥まで聞こえた。左大臣はうなづいて黙ってしまった。

宇治左大臣は藤原頼長。関白の二男で「悪左府」と畏れられたという。「悪」というのは気性が激しいという意味。人遣いも荒かったわけだ。そういう前提があって、この話は面白みを増す。

関西人は、と言ったが、小生の田舎では聞いたことはないように思う。ただ、讃岐高松の高等学校へ入ったときに、しきりに「自分」を連発する先輩がいて、ヘンな言い方だなと思った記憶がある。近畿に住むようになってごくふつうに使うということを知った。
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by sumus_co | 2007-03-10 22:06 | 古書日録
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