林蘊蓄斎の文画な日々
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知らぬことばかり降り積む余寒かな

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MARCEL PROUST『UN AMOUR DE SWANN』(Éditions Gallimard, 1969)。リーブル・ド・ポシュ版。昨日触れた淀野隆三が紹介しているヴァンデラン(この人、誰?)によるプルーストの読み方というのは以下のようなものである。

《マルセル・プルウストを十二分に味ふやうになるためには、実際のところ肉体的修練の二大原則を採用すれば足る。一つは漸次に進むこと、も一つは絶えず続けること。》

一週目は一日に二十〜三十頁ずつ、決して無理をしない、そうすると次の週には六十頁近く読めるようになるので、そのペースを守ること。そのうちにだんだんと読むのが楽しくなり、深みにはまるようになってくる。そして一冊読み終わったなら、すぐに次の卷に進まず、また初めから繰り返したりもしないで、読了した一冊を手当たり次第に開いて一行一句に注意してじっくりと読んで反芻することなどを勧めている。

なるほど、これはいい方法かも知れない。実は、読むペースはもっとずっと遅いものの、以前から小生は、長大な作品を読むために小さな個室を利用している。早い話が、トイレである。毎日だいたい十数分は用を足すので、下半身の活動とは別に上半身を利用して、数頁あるいは一頁でもいいから必ず読む。目印として挿んだ栞がじりじりと移動してゆく。これを見るのがみょうに楽しいのだ。

現在は『北條霞亭』(鴎外全集第十八巻、岩波書店、一九七三年)を読んでいる最中(むろん百円均一本)。もう足掛け二年にはなろう。初出は新聞連載なので一日分(三頁程度)がちょうど手頃な長さ。漢詩がうっとうしいが、とにかく意味など考えずに読む。むろん急ぎで読まなければならない別の本もあるので、とぎれとぎれになるのは仕方ない。とにかく焦らない。そうして最近やっと「霞亭生涯の末一年」までたどり着いた。これが終われば、渋江抽斎、伊沢蘭軒とともに評伝三部作はトイレで読破したことになる。かつてはソルジェニーツィンとかパール・バックとかギュンター・グラスや紅楼夢などの長々しい作品はいずれもみんなトイレの友だった。ということで、霞亭が終了したなら、『失われた時を求めて』を読んでみよう。できればオリジナルで。何年計画になるか……ウンとかかりそうである。

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プルースト 4 さま

ご教示ありがとうございます。川端康成は英訳で読んでいたんですね。長谷川巳之吉の罵倒に対して川端は淀野隆三らの翻訳を擁護する発言をしています。ところで英訳で cheeks となっているところ、日本語だと「頬」と単数かのように訳されてしまいます。敢えて生かすなら「両頬」ですが、両頬を枕の両頬に押し付けると息が苦しいかも(笑)。右左交互にということでしょうか。「まろやか」は苦心の訳語ですね、なるほど。

今、思いつきましたが、柔らかい大きな枕に後頭部を押し付けると両頬を枕(の頬)で挟むようなかっこうになります。ひょっとしてプルーストはそういうことを言いたかったのかも知れません。

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Gさま

五来訳『若き娘の告白』は『プルウスト全集. 別巻 第1』(三笠書房、一九三四年)ですね。これに関して小生は何も存じませんが、淀野隆三は新潮社版『スワンの恋』の「あとがき」(一九五二年)に次のように記しております。

《月一冊のスピードで、五来達氏の一人訳が出たので、その精力に驚いたが、続刊は見られなかつた。なお三笠書房からは一九三五年に『愉しみと日日』が『若き娘の告白』と題して斎藤磯雄、近藤光治、竹内道之助三氏の共訳で出ている(二年前刊行の同じ題名の訳書は抄訳である)。》

この文章を読むと、斎藤他訳と五来訳は無関係という風に受け取れますが、どうなのでしょうか。五来氏は病気がちだったとのことですので、そのために続行できなかったのか、それ以外の理由があったのか、たしかに興味深いところです。

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KYOさま
スタートできないのは単に手続きの操作が分からないだけかも……と書いたら、hatenaに移ったみたいです。
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by sumus_co | 2007-02-19 17:06 | 古書日録
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