斎藤昌三の葉書。式場隆三郎宛。某氏よりいただいただ。とても嬉しい。関野準一郎のエッチング「少雨叟」が印刷されている。消印の日付は分かるが年は読めない。葉書が二銭になったのは昭和十二年から。それに合わせて乃木大将の二銭切手が発行された(五月十日)。ゆえに昭和十二年以後であることは間違いない。文面は以下の通り。
《おハガキ拝見、「げて本」はもう一冊も/ないとの返事でした。/但し無くなつてよろしい/ので、大家に/見て頂く/ほどのものでハ/ありません。/全く子供/だまし如き/ものでした。/随歩の時ハお送りします。不悪。/五月十五日 少雨叟 (「昌」印)》
《随歩》とあるのが『書斎随歩』(書物展望社、一九四三年)ならば、おそらく昭和十七八年頃の葉書と思われる。
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晶文社営業部の高橋さんより『晶文社スクラップ通信』133、134号をいただく。先日、産經新聞に『ワンダー植草・甚一ランド』について書かせてもらったのを読んで下さったようだ。高橋さんとは六月のUBCの後の飲会で一度お話した。この通信、ほとんど手書きのオフ印刷だが、元気いっぱいな感じがナイス。
「月刊営業の友」という高橋さんの連載コラムが面白い。その19は人文会、一九六八年に結成された人文系出版社の集まり(現在、筑摩書房、東大出版会、白水社、みすず書房、未来社など二十社が参加)について。その20は福岡で開かれたBookokaの報告。
2006年・晶文社のベストテン第一位は『バスラの図書館員』(ジャネット・ウィンター、長田弘訳)。二位は『クライム・マシン』(ジャック・リッチー)、三位『普及版数の悪魔』(エンツェンスベルガー)、以下略。
刊行案内によれば来年一月に『古川ロッパ昭和日記』の新装復刊が開始されるそうだ。既刊書では『パブリッシャー—出版に恋をした男』(トム・マシュラー、麻生九美訳、晶文社、二〇〇六年)を近いうちに読みたいと思っている。永沢光雄氏が亡くなったのは知らなかった。
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『彷書月刊』編集長田村さんより電話あり。『神戸の古本力』おほめいただく。トークを安直にまとめただけかと思ったら、これはすごいよ、とのお言葉、有り難く。「〜の妻」について御下問あり。