林蘊蓄斎の文画な日々
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裾分の慕情麗新酒戸を敲く

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蘇東坡『前後赤壁賦・和漢名家習字本大成第二十九巻』(平凡社、一九三四年)。三密堂の百円均一より。図は「後赤壁賦」の冒頭。《是歳十月之望歩自雪堂……》。元豊五(一〇八二)年の作。ちょっと印刷は悪いが、なかなかいい字だ。岩波文庫の『蘇東坡詩選』を参照しながら文字を辿る。

「十月之望」とあるのは十月十五日(望月)のことで、これを西暦に直すと同年十一月七日になる。日本の元号では永保二年。蘇東坡は地方の小地主階層から出たエリート官僚だったが、神宗と王安石による政治改革に異を唱えて左遷された。さらには獄に繋がれ死をも覚悟したが許されて黄州へと流された。そのときに与えられた荒地を耕し、そこを東坡(東の丘陵)と呼び自らの号とした。「雪堂」はそこに築いた堂である。

満月が美しいのでなけなしの酒と肴を持って友人と舟に乗り込み、長江を赤壁の下まで行く。楽しくやっているとすぐそばを鶴がかすめて飛び去る。夜中、遊び疲れて家に帰って睡りに就いたところ、ある道士がやって来て「赤壁での遊びは楽しかったか?」と訊く。「君は誰かね?」と尋ねても答えない。「ひょっとして、あの鶴くんかい?」。道士は笑って答えない。驚いて目が醒めた。戸を開けて外に出てみたが誰もいない……というような内容である。漢文の授業終わり。

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『日本古書通信』928号届く。巻頭の松本翁連載は創元社の背綴和装廉価本である。横光利一『機械』、谷崎潤一郎『新版春琴抄』、滝井孝作『無限抱擁』の三種が出ているらしい。いずれも佐野繁次郎装幀。

小出昌洋「随読随記」に平井功のことが書かれている。小出氏は平井未亡人豊子さんを何度か訪ねたことがあるそうだ。また最近、垂野創一郎氏より平井功の訳詩集をまとめた冊子を贈られた。豊子夫人は功の遺品を大きな旅行鞄に詰めて保管しておられるそうで、そのなかに未刊に終わった『驕子綺唱』の原稿が納められていた。その『驕子綺唱』も垂野氏が近々刊行されるとのことである。それにしてもEDI版が実現しなかったのが残念だなあ。

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藤原紀香は神戸親和女子大文学部英文科卒。かつて親和のプリンス(今は別の大学に移られた先生)に聞いた話では大学にポンと大金を寄付したことがあるそうだ。プリンス曰く大学は「藤原さんの銅像を建てるべきです」。いいアイデアかも。

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三箱古本市の出品に関して聖智文庫さんより電話あり。ミステリー文庫三百円均一ではなく、文庫はすべて二百円か三百円のどちらかです、とのこと。なおさらけっこうです。
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by sumus_co | 2006-11-16 21:20 | 古書日録
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