林蘊蓄斎の文画な日々
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繕ふに天衣もとよりなき夜長

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百万遍で買った本より、中里峯二郎『数学軌範』(博文堂、癸酉九月序)。和綴木版刷りの数学教科書および問題集。癸酉は一八七三(明治六)年。寺西易堂による序文。寺西は名古屋の人、名は鼎、字は子善、詩文を藤森弘庵や後藤松陰らに、書を柳澤吾一に学んだ儒者。大阪に住して能書家として知られた。小生、数学は苦手だが、数字のレタリングに興味がある。この九九表の数字、たいへん面白い。装幀などに使えそう。

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浅原六朗『天衣百韻』(マニュアルハウス、二〇〇六年)を某氏よりいただく。浅原は以前も紹介した「てるてる坊主の歌」の作者。晩年は俳句に専念したそうで『定本浅原六朗句集』(創紀房、一九七八年)などもある。

 黒揚羽花かたむけて強く吸う
 凍雲に欺かれている男の顔
 春の夜や沓下ぬげば白いこと
 歳の瀬やこの寂しさは水に似て
 石膏の脚でたち人憎む冬

切れ字を使いながら言葉・文字遣いは現代語でまったくこだわっていない。色っぽい句はなかなかいいように思う。

ちなみに「天衣無縫」の意味は、天女の衣には縫い目がない、すなわち完璧(キズのない玉)だということである。出典は『太平広記』(九八一年)巻六十八に収められている唐の『霊怪録』という 怪異短編小説集だそうだ(織姫が浮気をする話)。なお現在ではホールガーメントという製法で縫目のないニットが可能である。

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『神戸の古本力』の初校終了。返送する。装幀原稿も同封。四六判、約160頁、並装、1500円(+税)なり。細かい直しがけっこうあったので再校を取ることにする(アンケートにお答えいただいたみなさんには一部お送りします。三箱古本市までには間に合うでしょう)。
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by sumus_co | 2006-11-06 22:03 | 古書日録
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