林蘊蓄斎の文画な日々
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小活字へ指をすべらす余花の雨

「余花」は散り残った桜。京都ではちょっともう時期が遅過ぎる。歳時記をめくっていたら目についたので使ってみた。終日雨で仕事に励む。

高橋輝次氏より電話あり。京都の本屋に『関西古本探検』は並んでますか? と訊ねられるが、最近、三ノ宮以外、どこにも出てないので分からない。装幀は好評だとのこと。

『日本古書通信』922号。松本翁の巻頭原稿は、田宮虎彦の興した文明社。昭和二十一年二月から二十三年三月までの二年間だけの活動だったそうだが、善い本を出していたとのこと。仏文学者の小島輝正も編集スタッフとしてしばらく在籍したのち、

《洛陽書院という出版社を始めるが、二、三冊出したところであえなく頓挫。彼は、神戸大学の教え子である中尾務に「出版だけは手エ出したらあかん」と諭したという。》

ふーむ、賢明だ。ただ、洛陽書院というのは、戦時中、時流におもねたような書物をいろいろ出している出版社である。国会図書館NDL-OPACで検索すると三十八件ヒットする。小島が関わっている刊行物はおそらく下記の三冊だろう。

サン・ヌウヴェル・ヌウヴェル. 第1巻 / 鈴木信太郎,渡辺一夫. -- 洛陽書院, 1949
閑人独語 / 辰野隆. -- 洛陽書院, 1949
サン・ヌゥヴェル・ヌゥヴェル. 第2巻 / 鈴木信太郎,渡辺一夫. -- 洛陽書院, 1949

『閑人独語』(一九五〇年再版、装幀=渡辺一夫)を架蔵しているので奥付けを見ると、発行者は谷長茂だ。小島との関係はどうなっているのか、ちょっと気になる。配給などの関係から名義だけを借りたということも考えられる。
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by sumus_co | 2006-05-17 20:31 | 古書日録
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