『
spin05 古本屋を怒らせる方法海外編』(残部あります。送料とも1000円、欄外「メモ帳:お問い合わせはこちら」からご注文ください)でも紹介したモンマルトルはサクレクールの東側、コタン小路近くの「
ロドー・ジュ・ブック(本の香り)書店」。二〇〇八年以来、久し振りに訪ねたら、赤ん坊が生まれていた。奥さんが店のなかであやしていた。
今回ここでローラン・トポールの『アントロジィ』(ジャン・ジャック・ポヴェール、一九六一年)を入手。タテ12.5cmほど、掌サイズのデッサン画集(マンガ集)である。
『マゾヒストたち』(一九六〇年)の続編というか拾遺というような内容だろうと思う(澁澤訳の薔薇十字社版のみ架蔵、元版は未見)。ギャグがあまりにキョーレツで引用をはばかれるが、まずは穏やかな図版だけを掲げておく。
もう一冊、こちらはジョルジュ・ブラッサンス公園の古本市で入手。トポールの装幀本。マルセル・モロー『SACRE DE LA FEMME(女の祭典?)』(CHRISTIAN BOURGOIS EDITEUR, 1977)。モローは一九三三年生まれのベルギー人で、新聞社の校正係をしながら小説を書いていた。六三年に刊行した『Quintes』がシモーヌ・ド・ボーヴォワールに認められた。一九六八年にパリへ移住。校正を職業としながら小説を発表。トポール、アナイス・ニン、デュビュッフェ、ジャン・ポランらと親しく付き合った。周縁作家(un écrivain marginal)と考えられており、二〇〇六年にジャン・アルプ・フランス語文学賞を受けた。
版元のクリスチャン・ブルゴワは一九七〇年代にモロー作品を次々刊行した。ブルゴワは「10/18」の編集長だったこともあり(一九六八〜九二年)、ヌーヴォー・ロマンおよび世界各国の文学をポケット版でフランスに紹介したという大きな功績がある。モローもブルゴワの好みだったのだろう。それにしても、この絵、何とも不思議な効果をあげている。