林蘊蓄斎の文画な日々
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島尾敏雄と写真

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『Myaku』vol.15(脈発行所、二〇一三年二月二〇日)を某氏より頂戴した。深謝です。特集が島尾敏雄と写真。昨秋「特集・きみは、詩人高木護を知っているか」を取り上げた。なかなかシブイ雑誌である。

《三年前富士ゼロックスが出している広報誌『GRAPHICATION』で島尾伸三さんが父親の写真をもとに解説をつけた特集が組まれていたのだ。あのイメージが、ずっと頭のすみっこに残っていた。島尾伸三さんに特集の話をしたところ了解いただくことができた。おかげで、すばらしい内容の特集となった。》(編集後記)

自画自賛の体であるが、この言葉もあながちオーヴァーではない。「島尾敏雄の写真」とは島尾が自身撮影した写真ということだが、それだけでなく沖縄時代の島尾および島尾ファミリーが写った写真も数多く掲載されており、『日の移ろい』の世界を視覚的に実感できる貴重な特集である。

なかでも凄みがあるのがこの写真。

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島尾伸三氏の解説は以下の通り。

《台風の中を出かけるミホ(一九六〇年頃)/その日、父は何かの宴会で帰りが深夜でした。母は不貞があったのではないかと一晩中父を追求しました。知事を招いての宴会だというので、明け方から降り始めた豪雨の中へ飛び出し、知事が宿にしているという奄美寮へ、母は素足で事実確認へ家を飛び出しました。この写真を最近目にした瞬間にその事を思い出しました。写真の中の女性のブラウスもスカートも、確かに母のものです。》

ミホも凄いが、その出かける妻を撮影する敏雄もスゴイ。しかし、小生がいちばん好きなのは次の写真だ。

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《家族写真(一九五八年頃)/東京から名瀬に来て最初に移り住んだのは、母の叔母(林ハル)の家族が住んでいた、戦前は郵便局の官舎だったという瓦葺きの一軒家でした。》《父が手にしているのは、私が小遣いを貯めてようやく手に入れたフジペットという子どもカメラ専用の緑色のビニールのケースです。》

ここにも登場フジペット! 平出隆さんが「フジペット」を手に入れた思い出については以前触れたことがある。フジペット(Fujipet)、平出隆と島尾伸三の愛機だった。これを名機と言わずして何と呼ぶべきか。


Myaku 脈  比嘉加津夫
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by sumus_co | 2013-03-03 20:34 | おすすめ本棚
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