ユンゲ・クンストの一冊『マリー・ローランサン』にはこんなものが挟んであった。相馬屋製の四百字詰め原稿用紙の裏面に褐色がかった黒のインクで描かれている。パッと見には素人であろう。ただ、それなりに描き慣れており全体のまとまりは悪くない。魅力的な自画像(おそらく)になっている。
相馬屋(神楽坂)の原稿用紙を使っているから東京の人(東京在住)、というふうには断定できないものの、まあ、そういう可能性は大きいだろう。
扉に蔵書印が捺してある。花の形をあしらった洒落た印章だ。これもおそらく自画像の男性が自分で彫ったもの、と考えた方が楽しい。「S.AIHARA」ではないかと思うが、別の読み方もできそうである。
帰郷のため一週間ほど休みます。