『長谷川三郎展』(佐谷画廊、一九八二年九月一三日〜一〇月二日)。佐谷画廊の住所が東京都中央区京橋2-5-22キムラヤビル4Fとなっている。一九九〇年前後には、上京するとたいていのぞいていた画廊で、当時は銀座の四丁目、数寄屋橋寄りの裏通りの地階にあった。
佐谷画廊HPによれば創業は一九七七年、銀座移転は一九八二年。そして二〇〇〇年に銀座を撤退している。
『長谷川三郎展』が京橋での最後の展示だったのだろうか。同じ八二年の一二月に「M.エルンスト、ケルンのダダ展」を開催しているが…。
案内はがき。「新聞コラージュ」(一九三七年)
長谷川三郎は下関の生まれだが、六歳のときから神戸および芦屋で育った。小生は神戸で小規模な回顧展があったときに初めて見たと記憶する(その後、明石市立博物館などで開催されている)。そのときも思ったが、写真がいい。上は「室内」(一九四〇年)。
《その後、年月がたち、長谷川三郎は画家であることを知った。さらに山田正亮さんから、自分の先生は長谷川さんだと聞かされて驚いた。山田さんは氏の年譜に長谷川三郎に師事すると明記しておられる。
昨年、機会があって芦屋市の甲南学園甲南高等学校にある長谷川三郎記念室で長谷川三郎の作品を初めて系統的にみる機会に恵まれた。そして、感じたことは長谷川三郎の絵は学者の絵だな、ということであった。さまざまな実験的な仕事を含んだ作品をみていくとこの作家の志の大きかったことがみえてくる。新しい芸術を切り開いていこうとする作家の熱意がみえてくるのである。》(佐谷和彦「あとがき」)
文中《その後》の「その」は長谷川の著書『モダンアート』(東京堂、一九五〇年)を読んだことを指す。長谷川は評論家でもあった。このブログでも過去に
長谷川三郎『理論と鑑賞 現代美術』(創元社、一九五二年)を紹介している。
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この図録は東京のある古本屋さんから届いたものだが、本といっしょに下記のようなメモが同封してあった。
《今日の市場(入札会)に神戸の宇仁菅書店さんの在庫が出品されていました。千箱ほどが二〜三度に分けて出るようで(今日の分だけでも二フロアーがいっぱいでした)、どれにもお店のシールがついたままでした。一冊一冊に目配せをした丁寧な書棚が目に浮かぶようでした。行ったことはないのですが古本屋らしいいい店だったのでしょうね。》
宇仁菅書店、神戸に住んでいた頃には何度も立ち寄ったが、京都へ移ってからは一度か二度行っただけ。「古本屋らしいいい店だった」と思います。
宇仁菅書店閉店
http://sumus.exblog.jp/17923169/
宇仁菅書店(神戸市)
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