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歌集坊やの夢

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柳よし雪(矢倉年)著『歌集坊やの夢』(紫朗塔社、一九三四年三月一〇日、装幀・口絵=松浦莫章)。松浦莫章(1910~1998)は洋画家、三重県出身、辻永に師事、本郷洋画研究所に学ぶ、光風会会員、日展無鑑査委嘱。おそらく著者の柳よし雪こと矢倉年と親しい付き合いをしていたのであろう。

矢倉は中市弘とともに甲鳥書林を興した人物で戦後は書林新甲鳥など独自に出版活動もしていた。そのため武者小路実篤、横光利一、堀辰雄、吉井勇、宇野浩二、野村胡堂、柳田国男ら多くの有力な作家たちの書簡や日記などに登場するようだし、自身が発表したエッセイなどもかなりあるようだ。ところが、小生はいまだその生歿年すら把握できていない。三重県、おそらく伊賀上野出身。単なる推測ながら莫章と同世代ではなかろうか。三重あたりでどなたか研究されている方はおられないものか。

甲鳥書林
http://westedit.exblog.jp/10770734/

本書は子供向けの自由律短歌集である。序が野口雨情、跋が西村真琴、杉江泰一郎と谷歌水が矢倉の歌詞に曲を提供している(楽譜所収)。西村真琴は例のロボット博士。次男は俳優・西村晃。

《私が著者柳よし雪と知り合ひになつたのは詩歌誌"紫朗塔"を通じてである。たしか紫朗塔社の私を中心とする座談会で御目にかゝつたのが最初であつたと記憶する。》(跋言)

西村博士は大阪毎日新聞社会事業団内に全日本保育連盟を結成する(一九三六)など、児童教育にも尽力していたからその方面からの人脈だろう。また『紫朗塔集』(紫朗塔社、一九三四年)の編輯をしている長岡加藤治は大阪毎日新聞社に勤めていたようなので、その関係かもしれない。ただし『紫朗塔』という詩歌雑誌がどういうものか、これもまた謎である。乞ご教示。

参考までに正月の歌のあたりを引用しておく。

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矢倉年の名前の読み方だが、国会図書館は同館所蔵の本書のデータで「ヤグラ・ミノル」を採用している。国会以外のデータでは「ヤグラ・トシ」あるいは「ヤクラ・トシ」である。どうして国会は「ミノル」としたのか、理由があるはずだと思って本書をよくよく点検していたら、ルビなどではなく、著者検印が「美のる」となっているではないか。よく気付いたもの。

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矢倉についてはもう少し書くつもり。

喪中につき年賀状ではなく寒中見舞いを出す予定です。あしからず。本年もどうぞよろしく。
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by sumus_co | 2013-01-01 20:45 | 古書日録
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