林蘊蓄斎の文画な日々
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VAN・JAC・

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VANの小箱を古本屋の片隅で見つけた。ファッションにはまったくうといので、いったいこの小箱に何が入っていたのか想像すらつかないけれど、カフスボタンとかそういったものであろうか?

下敷きにしている紙は『VANグラフィティ』(立風書房、一九七九年)のコピー(本はとっくに売ってしまったが、今になると惜しい気がする一冊だ)。それによれば以下のようにして会社は創設された。

《岡山の紙問屋の跡継ぎで、戦前の天津大川洋行という総合洋品業で腕とセンスを磨いた石津謙介を中心に、大川照雄、高木一雄の三人でVANは創立された。昭和26年のことである。大川照雄は大川洋行時代の、高木一雄はレナウン時代の石津謙介の仲間であり、三人とも当時三十代の若さであった。
 設立地は大阪市南区炭屋町14番地、資本金は五十万円、まだ有限会社。株式会社になったのは昭和30年、この年東京都中央区日本橋二丁目七番地に東京営業所を開設、資本金を百万円に増資する。》

「VAN」の名称は諷刺雑誌『VAN』から来ており、そのロゴは

《VANのロゴタイプは(注:統一デザインによる会社名の文字)は刷り込み文字をヒントにしている。輸送用に使われる木の枠に刷り込まれた文字を、天津の港で毎日見ていた経験から生まれたアイデアである。》

このコピーは小箱を見つける前日に書類整理をしていて出てきたもの。さらに石津謙介『いつどこでなにを着る?』(婦人画報社、一九六五年一一月二五日)が小箱を買ってすぐにまったく別の店で見つかった。なんとも不思議なるかな、古本連鎖反応!

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アイビーはもとよりTPO(タイム・プレイス・オケイジョン、一九六〇年に新語として登場)、トレーナー、TシャツなどもVANによって一般化された。一九五四年『男の服飾』創刊(一九六三年より『メンズクラブ』)。当時のアイビールックのモデルは高倉健に菅原文太だった。仲代達矢も五六年に登場している。六四年にはオリンピック選手のユニフォームをデザインした。文字通り日本の高度成長期を代表するブランドだったと言えよう。

一九七八年四月に倒産。負債総額五百億円。従業員数は1550人になっていた。十月十二日、破産宣告。
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by sumus_co | 2012-12-22 20:32 | 古書日録
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