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ぶどう餅

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これが白鳥神社の参道。桑島玄二の『白鳥さん』から白鳥名物「ぶどう餅」のくだりを引用しておきたい。桑島の生家はぶどう餅の元祖だった。

《ぼくの家は、ぶどうもちというお菓子を作っています。
 白鳥さんの名物だというので、参拝客がよく買って帰りますし、進物用にもつかわれております。この前も、全国優良菓子展で最優秀賞をもらいました。
 かたちは、あんをうすい皮で包んだ、親指よりすこし大きめのもちを、竹のくしで四個刺したものです。
 江戸時代からのものだそうです。》

《ぶどうもちの製法は、長いあいだ家の秘伝でした。色のうすい、あっさりとした風味のあのあんは、どうしたらできるのだろうか。小さいあんを、うすい皮で、どのようにして包むのだろうかと、白鳥さんのみやげ物の同業者たちは、知りたくてなりませんでした。
 あるとき、ぼくの家の隣のはきもの屋さんが、大阪へ嫁いだ娘さんのところへ行ってしまい、空家になっていたのを、同業者の一人がわざわざ借り受け、そこの屋根の上から、製造方法を盗み見しようとしましたが、かきの木にじゃまされて、思うようにいかなかったということがありました。》

《白鳥さんの秋の神前試合が終わったとき、参加者たちが寄って、お茶を飲みますが、そのときに出るお菓子ですが、白鳥さんのことだから、下品な、粗末なものでは失礼に当たるというので、ぼくのおじいさんのおじいさんが、考えついたものです。
 四つ、くしに刺してあるのは、だんごは三つがふつうですが、
「これはうまい、もうひとつほしい」
というにちがいないと、はじめからもうひとつ、増やしておいたということです。
 おじいさんの代になってから、製法をだれにも教えるようになりました。
「何軒ものぶどうもち屋ができることが、ぶどうもちが栄えるみなもとになる」
と、考えたからだそうです。》

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《ぶどうもちは、どのようにしてつくるかというと、まずあんの棒をちぎっててのひらにのせ、右手の人差し指と中指とを使って、ぐるぐるもんでまるめます。それを繰り返すのです。
 もんだあんが、ほどよくたまったところで、うき粉を入れてあるもち箱のなかに入れます。その箱の両端を持って、何度も何度もゆさぶります。うき粉のなかで、あんはあっちにころげ、こっちにころげします。
 そうしているうちに、あんの表面に、うき粉の厚い層ができます。このようにできあがったものを四個ずつ竹のくしで刺します。それを並べてこしきでむすと、ちょうど、まるいあんもちが四つひっついたようになるのです。》

b0081843_19504967.jpg

『白鳥さん』の時代背景は戦時中である。あるとき少年が戦地の兵士へ慰問袋を送ったところ、袋を受け取った兵士から礼状が届いた。偶然にも隣村の「水車」の長男だった。少年は隣村へその手紙とぶどう餅を届ける。

《やがて、水車の回る音が聞こえてきました。ここは水車の動力で、付近の農家から頼まれた小麦をついて製粉し、また自分のところの分もついて、それをうどんの玉にして売っているのです。〈水車のうどん〉といわれています。
 粉が飛んで、姉さんかぶりの手拭いの下の、まゆ毛が白くなっているおばさんが出てきました。
「ありがとう、ありがとう」
と、ぼくの手を握って、何回も泣きました。
「ぜひとも、うちのうどんを持って帰ってな」
といいます。
「うどんはな、使う水が清水で、練った粉のこしが強くなかったらいかん。まあ、家へ帰って、うちのうどんをいっぺん食べてごろうじろ」
といいながら、いそいそとうどんづくりにかかりました。
 ぼくは、縁側に腰を掛け、足もとにじゃれつくちゃぼを追い払いながら、じーっとおばさんのするのを見ていました。
 うどんは、あらかじめ台の上で練ったものを、数枚に重ねたござのあいだにはさみこみ、そのござを足で、時間をかけて踏みつけます。そうすると、うどんのこしが強くなるのです。
 踏んで平たくなったものを、もう一度台の上にのせ、折りたたんで、その上から包丁を入れ、細かくきざんでいきます。そして、それを両手でぱらぱらとほぐして、できあがるのです。おわり。》

白鳥あたりには全国的にも珍しい六車(むぐるま)という姓が多いことは以前にも触れたような気がするが、この六車の車は水車と関係があるのかもしれない、とこのくだりを読んでいてフト思った。


みなとやのぶどう餅
http://nabequest.exblog.jp/10684320/

巴堂のぶどう餅
http://nabequest.exblog.jp/11442155/

正華堂のぶどう餅
http://nabequest.exblog.jp/12500895/
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by sumus_co | 2012-11-22 20:41 | うどん県あれこれ
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