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電子書籍ブーム?

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『クウネル』第十巻第四号(マガジンハウス、二〇一二年七月二〇日)は「本と旅する。」特集。上野英信と筑豊文庫、ウェールズ・ヘイオンワイへ、高山なおみと本、今泉吉晴のシートン書、那覇の古本屋ウララ(下の写真、この見開き、いい!)…となかなかの内容だ。

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ヘイオンワイでは国王リチャード・ブースに話を聞いている(最初の写真)。八十四歳、まだまだ元気そう。ブース氏はこんなことをもらしている。

《「最近は『キンドル(電子書籍用ツール)をどう思うか』という質問ばかり受ける。だが、古本は電子書籍の半額で買えるし、古本屋にはないと思っていた本が見つかる楽しみがある。古本の価値は今後ますます上がるだろう。それに、古本はリサイクルよりもっとエコロジカルなリユースだ。もっともグリーンな商売といえるのではないだろうか」》

もっともグリーンとは思えないにしても、古本の魅力と電子書籍とはまったく別のものなのは確か。

昨日届いた『出版研究 42』(日本出版学会、二〇一二年三月二〇日)に電子書籍関連の記事が二本あった。ひとつは「電子書籍ユーザ意識調査による普及要因分析の試み」(矢口博之、植村八潮)、もうひとつは「日米の電子書籍市場の成長過程の比較分析」(高木利弘)。ふたつの記事から結論をごく簡単に言えば、電子書籍は売れてない、ということになる。

前者によれば《電子書籍を「すでに利用した(読んだ)」と答えた人は2010年、2011年とも約10%であり、日本における電子書籍はアーリーアダプター層にも普及しきっていない状況であると推定できる》、さらに端末を持っている人でも毎日使うのは6.9%のみ。51.1%がほとんど利用していない。過去三ヶ月に読んだ電子書籍の平均冊数は0.36冊、購入したのはわずか0.09冊。それよりも本を購入するときに参考にする情報源として使っているようで、書店の店頭、新聞に次いで第三位がインターネットによる。結局、電子書籍を購入して読むというスタイルはまだまったく定着していないようだ。

後者は日米の電子書籍の市場規模を比較分析している。日本は二〇〇四年から急速に伸び始め二〇〇九年には五七四億円になった。ここまでは米国を圧倒していた。その理由は携帯電話向けのコミック配信サービスによるところが大なのである。しかし米国市場は二〇〇九年、二〇一〇年と急拡大した。Kindle と iPad の登場が飛躍の要因だ。それらは通信料無料で購入でき、品揃えが充実し、紙書籍より価格が破格に安い。二機種が競合したことによってさらに成長が加速した。ところが日本ではそうはなっていない、ということのようだ。

え〜、そういう話の後で何ですが、拙著『古本屋を怒らせる方法』も近い将来には白水社から電子書籍として購入できるようになるようです(先日、契約書が届きました)。
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by sumus_co | 2012-06-08 21:38 | 古書日録
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