林蘊蓄斎の文画な日々
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ポーのサクラ

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先日の某作家の旧蔵書として買ったフランス語の本のなかにバタイユの『エロティシズム』(澁澤龍彦訳、原題は L'érotisme エロティスム)があった。10/18のペーパーバック(一九六五年版)で古書としては取るに足りないもの、しかも汚れている。旧蔵者の書き込みも見当たらない。

しかし中に挟んであった映画館のチラシが気になった。シネマ・アラゴンという映画館での上映リストである。パニョルの三部作、フェリーニの「甘い生活」やマックイーンの「大脱走」がかかっていたようだ。某作家はパリに滞在していたので初めはてっきりパリの映画館だと思った。ジョルジュ・サンク(George-V)という場所はバリにもあるし。ところが何かおかしい。

要するにジョルジュ・サンクはジョルジュ・サンクでもポー(Pau)のジョルジュ・サンクなのだった。ポーって? ピレネー山脈、スペイン国境に近い町ではないか。奇跡の泉で有名なルルドのすぐそばだ。某氏はポーに何の用事があったのだろう。

青が表、赤い文字が裏面。これを二つ折りにしてある。
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と思って頁を繰っていると巻末にもう一枚古いプリントが挟んであった。「ポー夏期大学センター、1966年前半期、終了パーティ・プログラム 1966年8月5日」。どうやら世界中から集まった学生たちが余興をやったらしい。さては某氏もここに参加していたのだろうか?(ご教示いただきました。語学研修に参加しておられたそうです。それに関するエッセイも書かれているそうです)
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日本グループは「ユウヤケ」と「ハナ」を歌ったようだ。「Hana」は瀧廉太郎の「花」か。Fleur de cerisier とフランス語に訳されている。辞書を引いてみるとスリジエは桜桃であるが、桜のこともスリジエの花と呼ぶようだ(一般的な桜桃はセイヨウミザクラで桜とは別の種である)。

念のためヤフー!フランスで「Sakura」と検索してみた。なんと、日本のアニメ「NARUTO ナルト」の主要登場人物である「サクラ」(春野サクラ)がまっ先にヒットした。フランス語のウィキには植物の「Sakura(桜)」も立項されているから現在では「サクラ」でもきっと通じるのだろうが、若者には「春野サクラ」のことだと思われてしまうかもしれない。
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by sumus_co | 2012-06-01 21:33 | 古書日録
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