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林蘊蓄斎の文画な日々
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本の手帖31〜40

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「書坊余録」という奥付頁にある短文欄で近藤東が「一冊の詩集」と題して荘原照子『マルスの薔薇』を紹介している。荘原照子は本ブログで紹介している手皮小四郎さんの連載に詳しいのだが、この記事は荘原照子の消息が不明だったところから本人を見つけるまでに十年かかったという内容である。

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中込純次「パリの或る日」。ノートルダム寺院のファッサード《左側の聖者たちの中に、首を手にぶらさげている首無し聖者が居る。それが聖ドニである。切られた首を手に持ったまま、三百メートルも歩き、モンマルトルの岡の上で倒れた。それからあの岡が殉教者の岡「モンマルトル」と呼ばれるようになった…》という観光案内の解説を書き留めているが、正確にはモンマルトルの丘の上で斬首され、歩いて今日サン・ドニ教会堂がある場所まで自分の首を提げて歩いた、という伝説である。これとは別に「Mons Martis (le mont de Mars)」に由来するという説もあり、それによればガロ=ロメーヌ時代(紀元前一世紀〜後五世紀)にマルス(メルキュール)に捧げられた丘だったからだという。

サン・ルイ島に渡る。《一九三〇年頃、日本美術コレクターとして早くから日本人に知られていたユルリック・オダンが、この島のベチューヌ河岸に住んでいた。僕はその岸にたたずみ、彼の住んでいた五階のバルコンを見上げ、往時を偲んだ。この家のサロンで僕も、他の留学生たちと一緒にお茶の接待を受けたものだ。オダンはその後東京の荻窪に妻とめと移り住んで、日本の土と化した人だ。この岸から見える彼の部屋に、昔かけてあった栖鳳の「烏賊」の図が眼に浮かんでくる。》近くのアンジュ河岸にボードレールが住んでいたピモダン館がある。《オダンもこの詩人を好きだったらしく、「悪の華」の中の「おお、主よ、わが心と肉体を嫌悪なしに挑むる力を我に与え給え!」という意味の詩句を、よく口ずさんでいたことを思い出した。》

カルチェ・ラタンでは《学校の裏手のデカルト街に出て、ヴェルレーヌの最後の家の前に出た。階下はヴェルレーヌ書房という看板が出ていて、飾窓に本が並べられてある。パンテオン前の横丁のスフロー街から、下り坂になっているトリエ街に出て、往年永井荷風が泊まったというホテルの前に立つ。》ここで「学校」というのはソルボンヌのことのように書かれているが、アンリ四世校だろう。その裏のデカルト通りにヴェルレーヌの家があり、その家の左側にヴェルレーヌ書房があった(というのが蜷川譲『パリ文学地図』の説明)。この書店は現存はしないと思う。この通りは何度か通ったが記憶にない。それからボードレールの墓というキャプションのある写真が掲載されているが、どうもボードレールの墓ではないようだ。少なくとも小生が訪れた詩人の墓ではない。

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山崎義彦「リルケの秘密」。クレール・ゴルの回想録『私は誰も赦さない。現代の言語道断な文学的年代記』の紹介。クレールは詩人イヴァン・ゴル(堀口大学訳『馬来乙女の歌へる』版画荘、一九三七年、で知られる)の妻。ゴルと結婚する前からリルケのファンだったクレールは一九一八年、第一次世界大戦終結直後、スイスからミュンヘンへやってきた。《ミュンヒェン到着の翌十一月十八日、アインミラー街34番地アパート五階の詩人の住宅へと通ずる階段を登るに先立って、そのアパートの中二階のパウル・クレーの所へ立ち寄ってクレー夫人心尽くしの軽い食事で気息を整えねばならなかった。リルケは女たらしだとの評判を聞かされて、さしものボルシェビキの闘士もぶるぶる震えた、と件の回想録は告げている。》だが会ってみるとすっかり詩人と意気投合したクレールは詩人の子供をみごもった。リルケとゴルが長い手紙のやり取りを重ね、結局は堕胎することになったという。うかつながらクレーとリルケが同じアパートに住んでいたとは知らなかった。

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四十号で終刊のようだが、終刊するとはどこにも書かれていない。
by sumus_co | 2012-05-26 21:29 | 古書日録
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