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ヴァリエテ

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昨日の保昌先生のコピーをくださった方が同時に『リポート笠間』第二十号(笠間書院、一九七九年一二月二五日)も送ってくださった。保昌先生がここに「雑誌『ヴァリエテ』のことなど」を寄稿しておられる。『日本近代文学大事典』(日本近代文学館編・講談社刊)に野田書房の野田誠三、同書房の月刊誌『三十日』について書いた後、その周辺のことで書き留めておきたいことが出てきたそうで、そのひとつがやはり野田誠三編集の雑誌『ヴァリエテ』である、と書き始められている。

野田は早稲田の仏文を昭和十年に村上菊一郎、小田仁三郎らとともに卒業した。昭和九年に野田書房を創業、手始めに堀辰雄『美しい村』を限定出版。昭和十三年数え年二十七で自殺。村上菊一郎が「野田君のこと」(『風報』53、一九五八年一一月)を、山内義雄が「人の死」(『遠くにありて』所収)を書き残し、他に野田書房に出入りしていた堀尾青史が「野田の限定版」(『ちくま』一九七五年六月)で野田の死ぬ前後のことを書いているそうだ。

『ヴァリエテ』は早稲田の二年になったばかりの昭和八年五月に第一号が出た。編集人は野田誠三、発行所は三才社である。

《この時分の仏文科の卒業者は一期に十人から十七、八人どまりだ。『ヴァリエテ』第一号にはワセダの交友会名簿にみられる昭和十年、仏文卒の全員が登場している。クラス全員の雑誌だったか。しかし、体裁は大判の堂々たるものでクラス雑誌といった格好ではない。はやくも野田誠三の「編集と経営」が発揮されているともみられるのである。》

第二号から先生や先輩らの寄稿を載せ、五号から発行所が野田書房となり、堀口大学、中原中也、小林秀雄らが寄稿して早稲田人脈が姿を消す。近代文学館所蔵の『ヴァリエテ』は以下の七冊(最近、近代文学館のサーチエンジンが進化してとても動きがいい)。

1 1号1933/05/ 昭和8年5月本館
2 2号1933/07/ 昭和8年7月本館
3 3号1933/10/ 昭和8年10月本館
4 4号1934/01/ 昭和9年1月本館
5 5号1934/04/ 昭和9年4月本館
6 6号1934/06/ 昭和9年6月本館
7 7号1934/10/ 昭和9年10月本館

《野田のワセダの学生であったころの仕事である。これだけをみても、この時期としては異数の編集者であったといえるだろう。
 昭和の文学へのフランス文学の受容ということからみても野田書房の存在には見落とせないところがある。雑誌『ヴァリエテ』もその一端をかいまみさせるのである。野田書房の「宣伝雑誌」にとどまらないものがそこに在ったように思われる。》

たしかに『ヴァリエテ』という誌名がポール・ヴァレリー同名作品(Variété)から取られたらしいことからもそれは感じられる。ヴァラエティ、「雑録」とでもいうところだろう。小生は第二号だけしか架蔵していないが(表紙はジャン・コクトオ、カットは北園克衛)、巻末の三才社(東京市神田区一ツ橋通十七番地、フランス書の輸入書店)の新着図書目録のなかにヴァレリーの『Variété』(1924)と『Variété II』(1930。こちらのヴァリエテは 『Variété V』1944 まで出た)がどちらも三円三十銭で掲載されている。『ヴァリエテ』は二十銭だから十六倍以上の値段である。

野田書房臨時通信
http://sumus.exblog.jp/7027755/
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by sumus_co | 2012-05-05 20:15 | 古書日録
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