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宍戸恭一さんが語る 雑誌『試行』

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京都新聞四月十八日朝刊文化欄に宍戸さんへのインタビュー記事が出た。吉本隆明が三十六年間にわたり発行した『試行』について語っておられる。

《「試行」は1961年、吉本さんと詩人の谷川雁さん、評論家の村上一郎さん(いずれも故人)の共同編集で創刊された。その3年前から吉本さんと手紙のやりとりをしていた宍戸さんは、創刊号が出る前に「試行」2号への寄稿を依頼されたという。》

宍戸さんは吉本に三人で編集すると空中分解するから個人誌にすべきだと進言したそうだ。その通り六四年から吉本単独編集となった。

《宍戸さんが吉本さんと知り合ったのは、著書「転向論」(58年)を読んで感銘を受け、手紙を出したのがきっかけだった。》

そして『試行』に三好十郎についての論考を連載したことなどが語られ、こう締めくくられている。

《「人物論を展開するのに、正面だけしか見ないのは『擬制』の人物論です。それが『終焉』した今こそ、吉本さんの全体像に迫る、本物の吉本論が始まると思います」》

おこがましいかもしれないが、小生も『芸術的抵抗と挫折』(未來社、一九五九年)に収めれられている「転向論」を読んでスルドイと思った記憶がある。ただし何故かそれ以外の吉本の著書を読むことがほとんどなかったので(断片的には読んだような気もするが…そういえば『実朝』も読んだ)、小生の吉本に対する感心と関心はそこで停止したままである。

それよりも印象深いのは一九九六年八月の遊泳中に溺れたこと。八月四日の日記を見るとこう書いてある。

《8月4日(日)……街の草へ。昨日、吉本隆明が溺れて重体になったので、吉本ファンの加納さんにまずその話。吉岡実の本など見る。西脇順三郎が挿画(装画)を描いた「夏の宴」なかなかキレイだ。》

加納さんはマジ心配していた。小生が吉本溺れるのニュースを聞いたときすぐに思い浮かべたのはたこ八郎のこと。一九八五年七月二四日に神奈川県足柄下郡真鶴町の海水浴場で飲酒後に海水浴をし心臓マヒにより死亡していた。同じ死に方だなあ…(むろん吉本さんは助かりました)。

吉本隆明追悼文(蒐集資料)録
http://d.hatena.ne.jp/haigujin/20120408/1333867810

吉本隆明にはまったく関係ないけれども、その日の日記には凄い会話が記録されているので。引用しておく。阪急電車嵐山線車中。

男 これ(人差し指をカギ型に曲げて)やめろや。
女 どうして。あんたやってるやん。
男 きっぱりやめてる。
女 ××にやらせてるやん。
男 おれはやってへん。
女 そっちの方がよっぽどずるいやんか。
男 もう二度と家裁にはいきたないからな。
女 二度というて、前なんでいったん?
男 (注射するしぐさ)
女 えーっ、やめとき、幻覚見るゆうやん。
男 打ったらすぐ見るで。
女 なんでそんなんするかわからんわ。
男 もう注射はやめたよ、二週間前ぐらい。鼻から吸うやつにかえた。
女 別れるで。
男 それもそんなにやってへんよ、四日にいっぺんくらい。
女 しらんよ、ほんと……
次の駅で二人は降りたが、うしろから女性の左ひじを見ると、肉が五センチ四方くらいの楕円形にはがれたような古傷跡があった。男の指には三つの金属の指輪が光っていた。
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by sumus_co | 2012-04-19 20:46 | おすすめ本棚
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