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詩囚

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『詩囚』第一年第一輯(編輯所=詩囚苑、一九二六年一月一日)から第四輯まで入手した。日夏耿之介を巻頭に戴く同人誌である。カナブンに創刊号が所蔵されている他には見当たらないようだ。創刊号の奥付を写しておく。四冊とも変更はない。

 編輯兼発行者 齋藤武士 東京市牛込区弁天町四石田方
 印刷所 望月活版所 望月金作 東京市牛込区馬場下町四六
 編輯所 詩囚苑 東京市牛込区原町三丁目五九
 発売所 積文堂 東京市牛込区天神町一番地

弁天町は要するに早稲田。同人として印刷されている名前は以下の通り。原崎俊一、布上荘衞、垣内武二、中村克、紺瞳悒、赤城牛麿、犀東无史(斎藤武士?)、木村稔、千賀謹二。こちらも四冊とも変わりない。なかで千賀謹二と布上荘衞は早稲田百年史総索引でヒットし、千賀には編として『鶴堂遺稿』(千賀家追遠会、一九二二年)があり、布上には訳書『天路歴程』(英文学社、一九三〇年)がある。それ以外の同人名については目下不明。「編輯誌」にこうある。

《□我々の「詩囚」がこのやうな装で現はれることが出来たのは、日夏耿之介先生のおほきな御助力があつたからである。「詩囚」と云ふ名をつけて下さつたのも先生である。これは我々を「詩のとらはれ人だ」と云はれてつけて下さつたのだ。又 表紙のカツトも先生の珍蔵にかゝる英義利斯国龍敦出版の「りずむ」誌一九一一年夏期版より先生が選ばれたのである。
□題字は堀口長城氏をわづらはした こゝに謝意を表す。(U・A)》

堀口長城は堀口大学の父・堀口九萬一のこと。柏倉康夫『敗れし国の秋のはて 評伝堀口九萬一』(左右社、二〇〇八年)によれば、堀口九萬一が駐ルーマニア公使の仕事を終えて帰朝したのは大正十四年三月二十二日。同月末付けで依願免官となった。この雑誌が準備されたであろう大正十四年には、小石川区小日向水道町に洋館を新築し、読書、執筆にふけり、地方講演を精力的にこなしていたようだ。小石川というのは早稲田圏内と見ていいだろうし、同人の中に面識のあるものがいたのであろうか、(U・A)は赤城牛麿ということになるのだが…。

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第一年第二輯、一九二六年二月一日発行。扉絵は恒川義雅。
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恒川義雅を検索すると下記のような情報が見つかった。「MAVO」と縁の深い小石川・護国寺前の「カフェー鈴蘭」を恒川の母が経営していた(!)というのだ。

ING 昭和の洋画 恒川義雅
http://inoha.net/archive/showa/page3/26-3104.htm

恒川自身は二科に出品していたようで『二科画集』第十五回(一九二九年)、第十六回(一九三〇年)に名前が見えているらしい。後者では「花 故 恒川義雅」とあり、わずか二十五歳で早逝したことが分かる。また『アトリエ』昭和五年二月号に小川未明が「恒川義雅君の印象」を寄稿しているらしい。これは機会があれば読んでみたいが、小川も早稲田人である。

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第一年第三輯、一九二六年三月一日発行。扉絵(前号と同じ)および裏表紙カットは恒川義雅。広告二頁あり、「喫茶店 紅雀 上戸塚町清水川一二八」および「喫茶店ドメニカ 早稲田穴八幡坂」。《自家用》とペンで目次頁に書き込み。《一行あき》という校正らしき記入もある。同人の旧蔵だったのかもしれない。

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第一年第四輯、一九二六年六月一日発行。三輯から少し間が空いた。巻末に後記がなく、受贈書として以下の雑誌名が挙っている。

主潮(東京)、朝(東京)、信天翁(東京)、風景(東京)、街(東京)、羅針(神戸)、海の巣(神戸)、詩想(岡山)、韻(桐生)、乾杯群(平)、ルルル(平)、地平線(石川)、岡崎朝報(岡崎)、畸形児[地名なし]。

すぐに分かるのは、『主潮』稲門堂書店、一九二五年四月創刊、尾崎一雄編。『朝』朝発行所、一九二五年二月創刊、清水利通編。『街』稲門堂書店、一九二六年四月創刊、中山省三郎編。『羅針』海港詩人倶楽部、一九二四年一二月創刊、竹中郁編…。
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by sumus_co | 2012-03-09 21:33 | 古書日録
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