藤島武二「池畔納涼」一八九八年、東京藝術大学蔵
赤松鱗作「読書」一八九八年、東京藝術大学蔵
『正岡子規と美術』(横須賀美術館、二〇一二年二月)の図録より。どちらも明治三十一年。当時の女性たちがどういう本の読み方をしていたか、という実例である。藤島武二の方は歌の本だろう。いかにも英国あたりの自然主義的な絵にありそうな画題である。赤松の方は、くつろいだ姿勢からみて、本も柔らかい内容かなとも思えるのだが、罫の入り方からして、あるいは教科書かもしれない。
「正岡子規と美術」は正岡子規の周辺にいた画家たちの作品および子規自身の水彩画やスケッチによって構成された展覧会らしい。なかでは江戸中期の松山藩士で画をよくした吉田蔵澤(一七二二〜一八〇二)の墨竹にはオッと思った。長沢蘆雪(一七五四〜九九)よりかなり年かさではあるが、この図録に見られる作風は蘆雪にきわめて近い。子規は蔵澤の書画を愛蔵したという。
正岡子規と美術
http://www.yokosuka-moa.jp/exhibit/kikaku/947.html