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Poetica

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小沢書店のPR雑誌『Poetica』(一九九一〜九三年、表紙画=三好豊一郎)のうち八冊を頂戴した。毎号特集形式で、一号から順番に、小川国夫、篠田一士、富士川英郎、堀口大学、吉田一穂、柴田宵曲、磯田光一、小沢書店図書目録、三好豊一郎、および臨時増刊の加納光於特集が出ている。通常号はA5判だが、加納光於はたしかB5判だったと思う。以前何冊か架蔵していたが引っ越しのときに処分した。加えて『柴田宵曲文集』の内容見本と『小沢書店総合出版目録 1998』もおまけにつけてくださった。深謝です。

創刊号本文末尾の「雑司谷通信(1)」には「O」の署名(編集人の大野陽子であろう)で以下のように書かれている。

《Poetica創刊号をお届けします。小社は今年、創業二十周年を迎えましたが、PR雑誌発行はながい間の夢でした。文芸書出版の困難な時代にあって、今こそ、著者と読者、また書店との交流を育む濃密な空間が必要とされます。》

《二十年親しんだ飯田橋の路地裏を離れ、雑司谷・鬼子母神の近くに移転しました。》《オフィスビルの立ち並ぶ飯田橋と銀杏並木の雑司谷では趣も違い、開け放した裏扉からは、漱石や鏡花、荷風も眠るという雑司谷墓地の緑が深々と見えます。目白駅から歩いたり、バスに乗ったり、風情ある都電出勤を楽しんだり、通勤経路もまだ試行錯誤中。》

細かいことながら雑司ヶ谷霊園と「ヶ」が入るのが正式な呼び名である。まずは柴田宵曲特集号から目を通す。小出昌洋「柴田宵曲さんと森銑三先生と」がいい。

《先生は背筋をぴんと伸ばして正座される人だつた。それは一幅に描かれた江戸時代の鴻儒の肖像を連想させる。柴田さんも恐らく変はることはなかつたであらう。
 柴田さんとは何時間話しても、種が尽きるといふことがなかつた、と先生は仰つてお出だつた。話題が豊富で、正確な知識を有し、かつ信頼が置かれた。そして一々に一家の見識を持ち、評価に狂ふところがなかつた、ともいはれた。先生は柴田さんに対して、全幅の信頼を寄せてゐられたのである。》

宵曲は類い稀な蔵書家だった。森銑三の見たいという本をたちどころに取り出して提供してくれる。それは必ずしも量ではなく範囲の広いことが貴重だったのである。

《俳書、歌書、小説、随筆、評論、研究書はいふに及ばず、漢籍、仏書にまで及んでゐる。ことに陸羯南、福本日南、三宅雪嶺、中井錦城といふ、硬派の文人の書物が眼に附くことである。さうした点にも、柴田さんの人物が窺はれてくるのである。
 森先生の編著に、明治、大正の人物逸話辞典があるが、同書の硬派の文人の項目は宵曲さんの名が明記されるごとく、子はそれら文人については知る所が多かった。それは蔵書目録からも窺はれるのである。柴田さんにして硬派の文人列伝がものせられてゐたのなら、どれだけ私等を裨益せられたか知られない。いまではさうした人々のゐたことさへも忘れられやうとしてゐるのだから、なほさらである。柴田さんは余人の読書せられさうもない書物を、散策の途次に買はれたのだつた。》

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『Poetica』第九号の「雑司谷通信(9)」には《Poetica はここでしばらくお休みをいただき、新しい装いで再出発したいと思います。御期待ください。》と記されている。

小沢書店は二〇〇〇年九月に破産申請をした。当時はいろいろ噂が立ったが、実際のところはどうあれ、やはりかなりショックな出来事だった。そういえば、ちょうど湯川書房の湯川成一さんと親しくさせてもらうようになった頃で、小沢書店についても話題にのぼったことを覚えている。スクラップしてあった朝日新聞の記事。
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by sumus_co | 2012-02-02 20:01 | 古書日録
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