元旦に多くの年賀状を頂戴した。御礼申し上げます。今から賀状を書きますのであしからず。短信を書いてくださった方が多かったが、そのなかでオッと思ったのは次のメモ。
《デュシャンは、国際チェス・オリンピックのフランスチーム主将でした。パリ・トーナメント優勝も、という腕前》
拙ブログで
マン・レイやデュシャンはチェス好きであった。オリジナルなデザインのチェス駒をデザインしているほど(腕前の方はわからないけど)。と書いたことに対するコメントであろう。そうだったのかと思って、先年、国際美術館で開かれたデュシャン展の図録年譜を見てみると、一九一九年ころからチェスにはまって、一九三〇年にはハンブルグの大会にフランスチームの一員として参加したとあった(この略年譜ではチェスに関する記述はそれだけ)。なかなかのプレーヤーだったことを再認識。さらにネット上で検索してみるとチェスプレーヤーの渡辺暁氏がデュシャンのチェスを分析しているサイトがあった。
デュシャンはどんなチェス・プレイヤーだったのか
http://www.coara.or.jp/~koike/watanabe/kouza.html
渡辺氏の棋譜分析によれば、デュシャンは攻めは強いが受けが得意でなく終盤の粘りに欠けるという。素人強豪に多いタイプだったようだ。むろん素人といっても将棋で言えばアマ名人戦の県代表クラスだとは言えるだろうが。渡辺氏はデュシャンの棋力はアーティストとしての名声によって過大評価されていると見ている。
上の最初の写真はパリのポンピドゥ・センターのフライヤー。日曜日ごとに一作品を特別展示するという案内。写真に使われているのが二〇一一年一二月一一日に展示される(された)デュシャンの「瓶立て Porte-bouteille/Bottle dryer」。オリジナルは一九一四年作ながら行方不明、よってこれは一九六四年の再制作。
二番目の図版はレディメイドのチェス盤(一九六六年作、既製品のチェス盤にデュシャンがサインを入れている)、『MARCEL DUCHAMP』(GALLERIA SCHWARZ, 1972)より。