『ぽかん 02』(ぽかん編集部、二〇一一年一一月二〇日、デザイン・レイアウト=西田優子)。一年振りだそうだ。あっという間だなあ。特集「私の大阪地図」ということで増ページ、定価アップ(1000円)になってはいるが、十分にその価値はある。文、イラスト、写真のレイアウトから執筆陣の選択まで、個人出版の雑誌としてここまでのクオリティを保っているのはそうはないだろう。ある意味カンペキな一冊。
「私の大阪地図」には
日用帳こと藤田加奈子さんや扉野くんが書いている。冨士原清一という大阪の詩人について書いている中野もえぎさんの文章にもひかれた。松村明徳(モズブックス)さんの「大阪の古本屋になってみて」も古本屋を目指している人には参考になるであろうきびきびした一文。中原伸一「ぼくの百」がほほうと思う選書である。古本のある場所でよく出会う中原くんの姿以上のものが見えてくるような気がした。
中尾務、外村彰、加納政治というおっさん連(いや、おじさま方)のエッセイはさすが味わい深い。外村氏の「多喜さん漫筆」には年甲斐もなくうるっとしてしまった。
真治彩さんの編集人としての才能を高く評価する。
ぽかん 01
http://sumus.exblog.jp/14470897/
*
『瀬戸内作文連盟 vol.10』(瀬戸内作文連盟事務局、二〇一一年九月二〇日)。こちらも毎号楽しみな一冊。今回は蟲文庫さんも執筆している。おだやかに読み過せる粒よりのエッセイばかりだが、ほほう、と思ったのは白居幸二さんの「ニワトリ」。鶏の鳴声を音楽的な観点から分析している。
《基本的な型としては、三つから四つの音で構成されていて最初の音を基音とすると、次に来る中間音(これが一つの場合もあるし二つの場合もある)、そして最後にのばされる終音である。/基音一、中間音二、終音一のものを「コケッッコー型」。基音一、中間音一、終音一のものを「オカーサン型」と呼んでいる。》
『ぽかん』にも執筆している能邨陽子さんの「父とシール」もなるほどなあと思わせるファミリー・エッセイ。そうそう、蟲文庫さんの古本に関する本が出るようだ。『sumus』13に寄稿してもらった「古本屋の歌ううた」も収録される予定だとか。楽しみです。