茨木市立ギャラリーへ「富士正晴、開高健 展」を見に行った。阪急京都線茨木市駅の、しかも駅ビルに入っているギャラリーだからわが家からは至便である。会場には中尾務さんがおられてしばらく富士正晴と開高健のことや、先日の坪内祐三さんのトークショーについて、そのときに月の輪さんが青山光二(次の目録のテーマ)の調査をかねて来ていたことなどうががう。
展示内容はきわめて興味深いもの。中尾さんならではの精緻な資料の探索と読み込みによって、二人の関係が目に見えるような形で提示されていた。開高が友人たちと疎遠になって富士に接近する、その折のかなり気取った葉書とか、久坂葉子死すの報が富士家にとびこんできたとき、そこに開高健がいたという富士日記の記述などには興味引かれた。とくに芥川賞受賞後の小説の執筆に苦しんだ開高が富士にSOSを発してネタの提供を求めている七枚のハガキはとびきりの面白さ。『日本三文オペラ』は「アパッチ族」という富士の教えたテーマによって仕上げられた。
そういった資料の他に富士正晴の絵画、初版本、雑誌『洋酒天国』のバックナンバーなども並んで、二人が生きた時代についてさまざまに思いを馳せることができる。会期中、中尾さんは受付におられるそうなので(明日は休むとおっしゃっていたか)、解説をお願いすれば、気さくに応じてくれると思う。
茨木市立図書館
http://www.lib.ibaraki.osaka.jp/