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タイポグラフィ入門オリヴァー・サイモン(Oliver Simon, 1895–1956)『Introduction to Typography』(Pelican Books, 1954)。下鴨にて求めた一冊。 サイモンは英国チェシャーのセイル(Sale, Cheshire)に生れ、ドイツで教育を受けた後、第一次世界大戦に従軍、パレスチナ作戦に参加した。印刷をロンドンで学びカーウェン・プレスに入って活躍し、最高責任者になっている。一九二三年にはタイポグラフィの雑誌『The Fleuron』を創刊、またタイポグラファーのための倶楽部「Double Crown Club」の創設にも参加している。著書にはローデンバーグ(J. Rodenberg)との共著『Printing of Today』(1928)などがある。 カーウェン・プレス(Curwen Press)はジョン・カーウェンが一八六三年に創業、著名なグラフィック・アーティストを多数抱え、ポスター、書籍などの印刷を行ってきた。一九七七年にテイト・ギャラリーで「Artists at Curwen」という展覧会が開催されている。 Curwen on the Stone(s). ストーンズのポスターも制作している! http://blog.eyemagazine.com/?p=177 タイポグラフィというと文字のデザインであるかのように考えがちだが、ここで述べられているタイポグラフィは印刷物の全てを統合する「印刷編集術」とでも言うべきもの。目次を見ればそれがはっきり分かる(訳語は小生が適当に付けたもの、あしからず)。 1. FOUNDATIONS こころがまえ 2. RULES OF COMPOSITION 表記の規則 3. CHOOSING THE TYPE FACE 文字種の選択 4. SETTING OF THE TEXT 本文の配置 5. THE PRELIMINARY PAGES 扉、前付け 6. APPENDIX, AUTHOR'S NOTES, GLOSSARY 付録、著者のことば、用語解説 7. ILLUSTRATION 挿絵 8. PAPER、PRESSWORK, BINDING AND JACKETS 用紙、印刷、製本とジャケット 9. MISCELLANEOUS その他 以上が大見出し。そして例えば「2. RULES OF COMPOSITION」を見ると、以下のような要素についてそれぞれのルールが簡潔に説かれている。 SPELLING AND PUNCTUATION 綴りと句読法 QUOTATION MARKS 引用符 PARENTHESES AND BRACKETS パーレン( )とブラケット[ ] CAPITALIZATION 大文字の用法 SMALL CAPITAL 小型大文字 ITALIC 斜体字 DIVISION OF WORDS 語の区切り方 FIGURE 数字 SETTING スペースの調整 VOWEL-LIGATURES 母音の連結文字 REFERENCES TO AUTHORITIES 引用文献表記 FOLIOS 頁表記 CONTENTS 目次 MAKE-UP 本の構成 RUNNING HEAD-LINES 柱 ILLUSTRATIONS 挿絵 CAPTIONS 挿絵の説明 APPENDIX 付録 INDEX 索引 FOOTNOTES 脚註 MARKS USED IN THE CORRECTION OF PROOFS 校正記号 CORRECTED 訂正 たしかに、これら細かい法則(思想といってもいい)の積み重ねが一巻の書物を作り上げているんだなということがよく分かるわけだが、限られた字数でそれを説明するという困難をサイモンはかなり克服していると思う。手っ取り早く参考にしたいときには役立つだろう。 3. CHOOSING THE TYPE FACE 4. SETTING OF THE TEXT 5. THE PRELIMINARY PAGES 印刷も鮮明だし本文用紙も上等だ。それもそのはず、本書の印刷はカーウェン・プレスで行われたと扉の裏に断り書きがあった。ただし表紙の紙だけは従来のペリカン・ブック仕様だったのか、見ての通りひどく変色してしまっている。 * temp pressの澤辺由記子さんより以下のような案内メールがあった。 temp pressより夏のワークショップのお知らせです。 真夏の活字鋳造体験+活版工房見学+名入りオリジナル原稿用紙作りのワークショップをするツアーのお知らせです。ナビゲートは私、澤辺が職人さんと一緒に担当いたします。意外に思われるかもしれませんが、印刷博物館で長年活版ワークショップを担当して以来自身としては初のワークショップとなります。最初で最後にならぬ様と思いますが、職人さん達ももうご高齢でいつまでもこのような会が開けるとも限りません。少人数の募集ではありますが、この機会に是非ご参加下さい。 詳細は下記アドレスでご覧頂けます。 http://temppress.blogspot.com/2011/08/blog-post.html
by sumus_co
| 2011-08-15 21:20
| 古書日録
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