林蘊蓄斎の文画な日々
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福島県本宮町天王壇古墳出土。高さ四十一センチ。五世紀後半。

犬の話題をもう少し。日本最古の犬の骨は神奈川県夏島貝塚で見つかった。およそ九千五百年前と推定されており、世界的に見ても古い方らしい。縄文時代はていねいに埋葬された犬が多く、弥生時代以降は埋葬例が少なくなり、撲殺されたと見られる犬が多くなるという。この犬に対する扱いは狩猟から農耕への変化を反映しているとも考えられる(谷口研語『犬の日本史』PHP新書、二〇〇〇年)。

縄文以来の日本犬は、だいたい柴犬くらいの小型で、耳は小さく立っており、巻尾(上の埴輪)あるいは差尾(ピンとのびた尻尾)だった。これは江戸時代までほとんど変化しなかったという。要するに品種改良に熱心ではなかった。

「いぬ」の語源に関しては平岩米吉が興味深い説を立てている。

《例へば「日本釈名」には「犬はいぬる也、主人になつきて離れぬものなり、故に他所に引き寄せて、よき食を飼へども、もとの主人の所へいぬるなり」云々とあり、また「家に寝るの義なるべし」(倭訓栞)などゝ云ふ説もありますが、いづれも牽強付会の説と言はざるを得ません。多くの動物は其の啼声から名づけられることが多いのでありますから、「犬」といふ言葉も恐らく、その吠えるといふ事実と密接な関係があるであらうとは容易に考へられる事でありまして、「犬」は「伊奈流[いなる]から出たといふ説は、有力なものの一つと申して差支ないと思ふのであります。》(『私の犬』教材社、一九四二年)

「いなる」とは馬の「いなく(いななく)」と同じような擬音だと言いたいのだろうか。

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犬という漢字はどうやら犬が横たわっている姿らしい。上は赤井清美編『書体字典』(東京堂出版、一九七四年)より。『字統』によれば

《犬は犠牲とされることが多く、器物を牲血で清めるキン[難しい漢字なので略]礼に用いて器[き]・献[けん]・猷[ゆう]、建物に用いて就[しゆう]、天の祭祀に用いて類[るい]となる。犬の小なるものは狗、馬の小なるものを駒というのと同じ。》

ということだそうだ。器(古い字体は中央が犬)・献・猷などすべて犬という文字を含んでいる。犬は猟犬として尊ばれてきた一方でずっと食用にもされているし、人間と古くから身近につきあってきただけにさまざまなドラマをはらんでいるようだ。

 犬若し月光をうしなへば吠ゆ  藤田湘子

 犬を打つ石のさてなき冬の月  大祇

 犬の尾のいまたくましや椎若葉 石田波郷

 路傍に犬ながながと呿伸[あくび]しぬ
 われも真似しぬ
 うらやましさに        石川啄木

そして頼山陽の「寒犬」。引用中《溟》は当て字。山陽は愛犬家だったか。

 五柳無陰風数驚
 守門黄耳可憐生
 看梅帰晩昏揺尾
 賞雪期来曉発声
 檐短難逃霜気重
 巷溟時警月光明
 想他輞水淪漣処
 僮僕眠醒聞豹鳴

もひとつツルゲーネフ「犬」。

 私は犬とふたりで、部屋にゐる。外は咆えたける暴風。
 犬は真向ひに坐つて、ぢつと私を見詰めてゐる。
 私も犬を見詰めてゐる。
 犬は私に何か言ひたげな様子をする。だが、犬は唖だ、言葉を有たぬ。彼は自らを曉らない。
 けれど私は、彼の心を曉る。
 私は知る—今この瞬間、犬も私も一つ考でゐることを。ふたりの間には、何の差別もないことを。
 (以下略、神西清訳)
 
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狛犬一対 江戸時代 高さ約四十センチ。こまいぬ(高麗[こま]犬)は元来は「獅子」像であるが、これは明らかに犬をモデルに作られている。
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by sumus_co | 2011-08-05 21:40 | 古書日録
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