林蘊蓄斎の文画な日々
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WHALING LOG

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この人は誰でしょう。一八八五年頃の写真。当時三十八歳くらい。誰でも名前を知っている人物。アメリカ人。アーティストではない。ある図版を探してクリスティーズ・ニューヨークのカタログ(二〇〇〇年五月一九日号。古本まつりで百円だった)をめくっているとこの写真があったので、へえ、と思って掲出してみた。

さらに目的とは違う「WHALING LOG」を見つけて「おや、まあ」と声が出た。というのも『ちくま』の表紙裏エッセイの三回目(二〇〇九年三月号)に「ブログ」についてしったかブッタことを書いているが、航海日誌などを意味する「ログ」の実物については、当時はたしかネット上の小さなイメージで見たくらいだった。これ(下図)は説明もかなり詳しい。参考までに「ふるほんのほこり3 日誌」をコピーしておく。最近はあまり古本ブログを熱心に読んでいないが、このころはあれこれザッピングしていたなあ。

  *

《犬のように働いて、丸太のように眠る、といった意味の歌詞がビートルズの「ア・ハード・デイズ・ナイト」に出てくる。「丸太のように眠る」とは「ぐっすり眠る」ということらしい。日本語的に意訳するなら「泥のように眠る」だろうか。ただ、これはもうちょっと古くさい感じかも。泥酔ならともかく。

 丸太はログ(log)、ログハウスのログ。そしてまたウェブログのログでもある。こちらは「丸太」ではなく「記録」、とくに船の用語では航海日誌などを意味する。ウェブログが縮まってブログとなった。あらためて説明するまでもないと思うが、ブログとは個人やグループによって運営される日記的なウェブサイトの総称である。ブログのサービスを提供するサイトの登場によって更新が容易になり、ブロガー(ブログをする人)も急速に増えてきたようだ。

 むろん古本に関したブログもあまた存在する。なかで、やはり多数を占めるのは古本愛好家のブログであろうが、ここでどれが好きとか嫌いとか書いてしまっては、大いにさし障りがある、というか紙数が足りない。よって、古本ブログについて興味のある方には、本にまつわるブログを表示するページ「本街探偵」を丹念にチェックして、そのなかから自分に合ったものを選び出すという方法を推奨しておく。

 しかし、ブログの話をしながら、具体例を何も挙げないというのも芸がない。書き手を古書店の経営者、古本を売る人たち、に絞って、小生がシゲシゲ見ているブログをいくつか紹介しておこう(一月末現在)。北から順に、札幌「須雅屋の古本暗黒世界」、埼玉「ネット古書店主汗かきの日々」、東京「古書現世店番日記」、同じく「古書往来座ちょっとご報告」、同じく「猫額洞の日々」、同じく「古書日月堂」、奈良「智林堂書店」、同じく「古本屋ひまそがし日記」。倉敷「蟲日記」。福岡「あしび文庫」あたりになる。写真も含めた情報としての価値、日常性、地方色、そして何より語り口に現れるそれぞれの店主の個性、そんなところに魅かれるのだ。皆さんガンバッている。番外として、古書店ではないが「古本屋ツアー・イン・ジャパン」の主は全国の古本屋を巡り歩き、店頭写真とともに報告しており、とても参考になるし、のぞいているだけでワクワクしてくる。

 じつは小生もブログをやっている。さて、今からログインして更新しようかな。えっ、ログインって、丸太を入れる? なんでなんだ。》

  *

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解説によれば、ブラウン(Wm.R.Brown)所有の捕鯨船「ハミルトン Hamilton」号の航海日誌である。一八三九年、四〇年、四一年。図に見えるようにいろいろな挿絵が九十七点も添えられている。ハミルトン号は太平洋で活動し(日本近海にも現れたか? 天保年間にあたる)、ニュージーランドやオーストラリア近辺における記述があるという。捕鯨日誌のコレクションとしてはバーバラ・ジョンソン(Barbara Piasecka Johnson)コレクションが知られているそうで、研究対象として貴重視されているが、市場に現れることはごく稀だそうだ。

ググってみると、バーバラ・ジョンソンはポーランド生れ。一九六八年、わずか百ドルだけをもって故国を離れた。ジョンソン家の料理人として雇われ、ジョンソン・アンド・ジョンソン創業者の息子(John Seward Johnson I)の妻となり、夫の美術品蒐集のためのキュレーターとなったのだという。すごい。映画にできそうなお話(映画になっているそうです!)。

  *

苔花堂書店より『苔花堂新聞』特別号(二〇一一年六月)が届いた。海文堂書店の「女子の古本市」に出品されるそうだ。《振り返れば、小学校高学年期のあだ名は「おばさん」。高校時代のあだ名は「ご隠居」。そして、名実ともに立派なおばさんとなった現在、つれあいからは「妻のぉ〜、おじさん化ぁ〜、はんたぁーい。せめてぇ〜、おばさんにぃ〜、なれぇぇぇ〜」とシュプレヒコールを挙げられる日々。「女子」という言葉から連想されるハツラツさからは遠い身ではありますが、これも何かのご縁と参加いたしました。》とのこと。いざ、出かけなくては。
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by sumus_co | 2011-06-22 21:46 | 古書日録
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