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Loggia 10

Loggia 10_b0081843_18365779.jpg

時里二郎『ロッジア10号』(ロッジア、二〇一一年六月一三日)が届く。毎号のことながら、読み出すと最後まで止められずに時里さんの創作世界に浸ってしまう。今回は圖書館(ずしょかん)から生れ図書館へもどってくる「mozu」に関するレシ(récit, 物語)。

loggia(ロッジア)10号(森のことば、ことばの森)
http://loggia52.exblog.jp/13761886/

《共同体には、その村落としてはめずらしく《圖書館》がありました。あえて古い字体の「圖」が使われていて、「ズショカン」と呼んでいました。といっても、片隅にポツンと書架があるだけの建物です。共同体のリーダーでもあった前の地主が、岩石や鉱物研究の学究で、家督を継ぐまでは、首都の大学でも教鞭を執っていたと聞いていますが、ほとんどのコレクションや書物類は、首都の博物館に寄贈してしまったそうです。それでも当時としてはめずらしい外国の彩色図鑑類などもあって、戦後、共同体の集会所を作る時に、その地主の屋敷の一部が提供されたのを機会に、それらもいっしょに共同体に寄付されたのです。》

《わたしはいつも、その《圖書館》の奥まったところに押しやられた図鑑の並んでいる書架の本をながめている子どもでしたが、mozuの日を知らされる場所は決まってその場所でした。》

村の小さなしかし宝石のような文庫から紡ぎ出されるレシ……いかにも時里さんにふさわしいという気がする。ところで「ズショカン」について。幸田成友は「図書館に関する三つの注文」(『番傘・風呂敷・書物』書物展望社、一九三九年)にこう書いている。

《ライブラリー又はビブリオテークの訳字に、図書館の三字を充てたのは新しいことだ。明治十三年七月に今の帝国図書館の前身たる東京図書館が出来た。多分これが図書館の文字を使用した始めであらう。》

《慶応二年出版の西洋事情には、今日の図書館の意味で文庫の文字が使つてあるが、その意味で明治五年四月始めて書籍館なるものが設けられ、図書の蒐集保管の外、これを公衆の閲覧に供するを目的とするに至つた。名称の相違と共に目的が相違して来た。開館当時の告文に
  方今人才教育文化進歩ノ為メ、今般東京湯島博物館中ニ於テ書籍館ヲ建設セラレ、従来府庫収蔵ノ和漢洋ノ群籍ハ申ニ及ハス、其他遺漏スル所ノ書ハ追々之ヲ館内ニ蒐集シ、普ク衆人ノ此処ニ来テ、望ム所ノ書ヲ看読スルヲ差許ス条、各其意ヲ帯シ、有志ノ輩ハ無憚借読願出可申事。
とある。この書籍館が改称して東京図書館となり。爾来図書館の名称が一般に行はれるに至つた。》

残念ながらルビがないのでここに出てくる最初の「図書館」が「ズショカン」と読まれたかどうかは分からないが、『広辞苑』第四版「としょ」の項にはこう書いてある。

《ーかん クワン 【図書館】(library)(明治中期の訳語。それまでズショカンといった)》

参考までに『言海縮刷』(一九〇四=明治三十七年)には《と志よくわん(名)図書館》とあり「ズショ」では《づ志よれう(名)図書寮》しか採られていない。なお「書籍館」も「しょじゃくかん」(しよじやくくわん)と読んだようである。

小生蔵の明治二十八年発行「東京市図」(発行=中村芳松)より。この右端に「教育博物館」とあるが、明治十八年六月、湯島にあった東京図書館(東京書籍館〜東京府書籍館〜)がここに合併されて移転してきたそうだ。「教育博物館」は現在の東京芸術大学の位置にあったらしい。明治三十年に帝国図書館が設立され東京図書館の業務を引き継ぐが、現在まで続く建物(現・国際子ども図書館)へは明治三十七年に移転した(以上の変遷はウィキによる)。
Loggia 10_b0081843_20431380.jpg

そう言えば、以前にも上野公園の地図をアップしていたことを思い出した。これよりも十年ほど古い時代である。

『尋常小学読本巻之四』上野の地図
http://sumus.exblog.jp/5535848
by sumus_co | 2011-06-20 20:32 | おすすめ本棚
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