林蘊蓄斎の文画な日々
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文筆家画文集

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昨日、坂崎重盛さんから手土産がわりにと渡された『本の手帖』三一号(昭森社、一九六四年一月一日)特集「文筆家画文集」。『本の手帖』は何冊か持ってはいるが、この号はなかったので有難く頂戴する(架蔵していてもむろん頂戴いたします)。当然ほとんどが素人画ながら、熱心と才気との両面がうかがえてなかなか面白い。才気派の代表は上の金子光晴。浅草十二階なので取り上げてみた。

浅草十二階に関する記事
http://sumus.exblog.jp/14019632
http://sumus.exblog.jp/14026130
http://sumus.exblog.jp/15629008/

他には草野心平、檀一雄、北園克衛、稲垣足穂らが才気派。熱心派は小林勇、渡邊一夫、式場隆三郎あたりか。この特集のなかで素人の域を脱しているのは串田孫一だろう。

いちばん感心したのはこの「へんな蝉」。作者山本太郎は山本鼎の長男だから画才が豊かであっても不思議ではないが、辻まことや難波田史男を連想させるほど、表現レベルが高い。
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「うまいのは田村泰次郎ですね」と坂崎さん。たしかに。パリの《アカデミィ・グランショミエ》でスケッチしたそうだ。ただし手が描けていない。ある意味それがいい味になってはいるが。
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特集とは別に大槻鉄男訳のアンドレ・ブルトン『対話』の連載7が掲載されている。これは一九五二年にラジオ放送されたアンドレ・パリノオによるインタヴューである。パリノオが「革命を起こす前はどうやって暮しをたてていたのか?」と質問しているのに対して、皮肉を交えながらもブルトンはけっこう率直に答えている。

《私は数年以来、服装デザイナーでまた蒐集家でもあるジャック・ドゥセのところで図書係を勤めておりました。同時に、彼の近代芸術蒐集の範囲に含まれることになつた絵画と彫刻の選択の指導もやつておりました。》

それはアンリ・ルソオ「蛇使い」、スーラー「サーカス」素描、ピカソ「アヴィニョンの娘たち」、キリコ「不安なミューズたち」、デュシャン「すべり溝」「輪転機」、ピカビア、ミロなどであったという。

《当時七十歳の老人でしたがね、彼はときに明らかに趣味人といつた態度を示したし、また、こう呼ばれる資格がなくはないわけだが文芸擁護者という評判をとつていました、というのは、その頃すでに彼は芸術および考古学に関する蔵書をパリ市に寄付していましたし、また、当時私が受け持つており今日、サント=ジュヌヴィエーヴ図書館で参照することのできる作品と肉筆原稿の全部をパリ市に遺贈する準備をしていたのです。それでもやはり彼に一枚の絵の購入の肚を決めさせることは、はなはだしく手間のいる仕事だつたんです。》

《アラゴンも、私同様、生活費の大部分をドゥセに負つていました、文学にかんして週に二つの手紙を彼に書く役目です。これで月に五〇〇から八〇〇フランになりました。私自身の手当は千フランでした。》

ところがブルトンらがアナトール・フランスを非難するパンフレットを発表するやいなや、ジャック・ドゥセはブルトンを呼びつけてクビを宣言したという。パンフレットはアナトールの死去(一九二四年一〇月一二日)の直後『UN CADAVRE』(屍体)と題されて刊行された。スーポー、エリュアール、ブルトン、アラゴンらが寄稿し辛辣な言葉を連ねていた。

《「シュールレアリスム宣言」が発表されるのは、この日から数日後です。これは、こうした緊張した雰囲気のなかに置いてみなくてはなりません。今後、この運動の飛躍的発展をになわんとするすべての人たちは、少なくも数年のあいだ、自分たちが非難する社会機構への参加を放棄することになります。このことが彼らを、いかなる個人的な困難にさらそうとも、彼らは、自分たちが拘束のない姿で進んでいるという事実を互いに認め合うでしよう。》

なんとも便利な世の中。ネット上でこの音源を聴くことができる。

André Breton et André Parinaud
http://www.arcane-17.com/rubrique,entretiens-radio,1155760.html
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by sumus_co | 2011-06-13 21:40 | 古書日録
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