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黄葉夕陽村舎詩後編

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例によって双白銅文庫の最近の蒐集より『黄葉夕陽村舎詩後編』。菅晋帥(茶山)の詩集である。表紙はかなり傷んでいるが、本文はまずまず。文政六年(一八二三)に頼山陽の編によって版行された。後編八卷四冊あるうちのこれは第一冊(第一巻、第二卷)。序には出版までの経緯が北條譲四郎(廉塾の後継者)によってしたためられている。京都の河南儀平と大阪の河内屋儀助がほぼ同時に出版を申し出て、すったもんだの末、両者共同出版となったという。見ての通り文字の彫りはかなりいい。

菅茶山記念館『黄葉夕陽村舎詩』
http://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/kannabe-kanchazan/about/sonohoka.html

廉塾は菅茶山の開いた塾
http://www8.ocn.ne.jp/~chazan/newpage3.htm

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はじめは書き入れが邪魔だなと舌打ちしたのだが、チョイチョイと読んでみると、これはちょっとしたものだと気づいた。例えば、この作。

   羽田荘佐隠居会李岱古仲 主人善棋二子善諧歌 以下排律
 偶問聯吟社相逢坐隠房清機四五局古調両三章
 洒水霑苔石移延近竹墻樹梢明遠雷檐角落微涼
 談入煙霞熟情忘物我長誰知城郭裡別有僻幽郷

たまたま出会った三人が岩田屋の隠宅で碁を囲み、誹諧歌を詠み、話し込んで時間を忘れた。庭をうるおした様子、遠雷が光って、涼しい風が吹いてくる。市中にあってまるで人里離れた気分にさせてくれた、というような意味だろう。欄外にこのように書かれている。
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 李ー烟草屋舒嘯之
 古ー岩田屋門左衛門俳名
 ナリ今ノ善四郎父ナリ

《今ノ善四郎父ナリ》からすれば、書き入れをした人物は本書が刊行されて間もないころの神辺(かんなべ、福山市)の住人か。他にも故事や人物に関する注記が散見される。全巻揃っていれば楽しいだろうなあ。

  *

詩人の島田陽子さんが亡くなられたと新聞に出ていた。よくは存じ上げないが、一、二度お会いしたことがあって印象は鮮明だ。文学館設立でもりあがったときの話は拙著『古本屋を怒らせる方法』(白水社、二〇〇七年)に収録したエッセイ「蔵書死すべし」にまとめてあるが、そこに「S女史」としてご登場いただいている。御冥福をお祈りします。
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by sumus_co | 2011-04-22 22:38 | 古書日録
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