林蘊蓄斎の文画な日々
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正信念仏偈

b0081843_20392739.jpg

親鸞七百五十回遠忌とは何の関係もないが、昔、二百円で求めた『正信念仏偈(しょうしんねんぶつげ)』が気に入っているので、思いついてアップしてみた。タテ185ミリ。

もちろん『正信念仏偈』は親鸞が作ったそうだから何の関係もないというわけではないが、無信心者であるからして、これを誦唱するということはない。だいたいが当家の宗旨は真言だし。しかし表紙が失せてしまって残念にせよ、本として、文字組としてなかなかに美しい。雲母(キラ)引きの用紙も。

b0081843_20374316.jpg

本文はすべてひらがなで書かれているが、本来は漢文である。この見開きの該当部分を引用しておく。志は「し」とした。

 一切群生蒙光照 いつさいぐんしやうむくわうせう
 本願名号正定業 ほんぐわんミやうがうしやうぢやうごう
 至心信楽願爲因 ししんしんけうぐわんにいん
 成等覚證大涅槃 じやうとうがくしやうたいねはん
 必至滅度願成就 ひッしめつとぐわんじやうじゆ
 如来所以興出世 によらいしよいこうしゆつせ
 唯説弥陀本願海 ゆいせミだほんぐわんかい
 五濁悪時群生海 ごぢよくあくじぐんじやうかい
 応信如来如実言 おうしんによらいによじつごん
 能発一念喜愛心 のうほいちねんきあいしん

b0081843_20373375.jpg

この部分はやはり親鸞作の『讃阿弥陀仏偈和讃』。原文は漢字とカタカナで書かれているそうだ。

 空雲無碍如虚空 くわうんむげによこく
 一切の有碍にさはりなし いちさいのうげにさわりなし
 光沢かふらぬものぞなき くわうたくかむらぬものそなき
 難思議を帰命せよ なんしぎをきミやうせよ
 
b0081843_20391359.jpg


《「正信偈」とともに和讃の諷誦が、後来仏前の勤行として行なわれることになったのは、教義信仰の弘伝の上からも、生活行儀の面からも、極めて重要な意義を持つものである。》

《通常は朝夕の二回に修するようになった。真宗ではこの勤行を俗に「おつとめ」と称し、僧俗に通じて行なうのであるが、それは全く念仏の助業であり、仏祖に対する報恩感謝の行業に過ぎないものとする。》

《文明五年(一四七三)三月に、蓮如が末代興隆のため、「三帖和讃」、ならびに「正信偈」四帖一部を開板したということも、僧俗一般が諷誦の必要に応じたものと考えられる。本願寺ではその後、歴代の宗主によって幾度か「正信偈」「和讃」が改版されたが、みな「文明本」を襲用している。)》(名畑応順校注『親鸞和讃集』岩波文庫、一九七八年版、解説より)

なお表書きにある文化十五年は文政元年、一八一八年。伊能忠敬、司馬江漢が歿した年で、翌年には塙保己一『群書類従』刊行、一茶の「おらが春」が成るといった時代。
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by sumus_co | 2011-03-22 21:43 | 古書日録
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