林蘊蓄斎の文画な日々
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HENRI MICHAUX

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『HENRI MICHAUX CHOIX D'OEVRES DES ANEES 1946-1966』(LE POINT CARDINAL, 1967)、アンリ・ミショーの個展(ル・ポワン・カルディナール画廊、一九六七年)カタログ。序文をジャン・グルニエが執筆しており、それがなかなかの名文だ。たとえばミショーのインク・ドローイングについて。

《Mais toujours il s'agit d'une chose ramasée sur elle-même, qui forme un tout, distinct d'un autre tout, et poutant animêe d'un tourbillon qui ne connait pas de relâche, un tourbillon dirigé. Et je me souviens d'avoir vu dans l'oasis de Damas des hommes sur une terrasse manier un bâton avec un chiffon au bout, et en le faisant tournoyer attirer une troupe de pigeons et lui faire décrire les tours les plus imprévus dans le ciel—et c'était une bande compacte qui à une seconde déterminée dessinait telle figure, à la seconde suivante telle autre.》

グルニエはシリアのダマスカスで見た男たちを起想している。男たちは先端に布切れを付けた棒を振り回して、鳩の群れをその旋回のなかに招き寄せようとしていた。おそらくここでグルニエの言うイメージはこんな作品なのだろう。インクのタッチと渦巻きがからみあったような。中心部に竜巻が見えてくる。

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ミショーは一八九九年五月二四日にナミュール(ベルギー)に生まれた。父はアルデンヌ出身で中産階級であった。幼時はブルッセルで過す。孤独に籠りがちな難しい少年時代を送ったようだ。第一次大戦ドイツ占領下のブリュッセルで文学に親しみはじめた。読書に没頭したが、本質的なものではないような気がしていた。医者になるための勉学を放棄して船員になったのが二十一歳のころ。二十三歳でロートレアモンを知ってショックを受け、表現への強い欲求が起り、本気で著述を始めた。

フランツ・エラン(Franz Hellens est le nom de plume de Frédéric Van Ermengem、ベルギーの詩人・作家・美術評論家)、ジャン・ポランらに励まされる。一九二五年、パリでジュール・シュペルヴィエイユの知遇を得、クレー、エルンスト、キリコらの絵画に触発された。一九二七年に赤道地帯を旅行し、最初の主要な著書『Qui je fus』(N.R.F)を刊行。このころからすでにタッシュやアルファベなどによるデッサンを描いていたが、本格的に画業を開始するのは一九三七年。同年パリのギャルリー・ピエールで最初の個展を行なっている(本カタログ所収の略年譜による)。

小生は西武百貨店で見たミショーの回顧展が衝撃だった。膚に粟粒が立つような不安定感。絵画の領域から踏み出しながらも何とか辛うじて踏みとどまっているようだった。


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『passages』(Editions Gallimard, 1998版)。一九九八年に十八年ぶりで訪れたパリ。そのときに泊った宿の近くの新刊書店で買った記憶がある。ひとえにこの表紙のデザインに引き付けられて。今、開いてみると、巻頭に徒然草の一節が引用されていた。第八十二段「うすものの裱紙は」の一部。


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『La nuit remue』(Editions Gallimard, 1994版)、こちらは神保町の大島書店の均一箱からだったと思う。
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by sumus_co | 2011-03-19 21:03 | 古書日録
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