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飛ぶ教室

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ケストナー『飛ぶ教室』(高橋健二訳、一九五〇年四月一七日)。昨日の街の草にて。本文紙は焼けて(紙質が悪いため)、背が傷んでいるが、状態はいい方だと思う。扉絵は岡村夫二だから装幀も同一人かもしれない。現在のところ「日本の古本屋」には出ていない(もちろん、これ以外の版はたくさん見つかる)。

訳者のことばには《「飛ぶ教室」は一九三三年に出ましたが、一九四九年版を送ってもらい、それに従って訳しました》とある。初出は『赤とんぼ』(実業之日本、一九四六年四月〜四七年一月)だが、連載は完結せずに、五〇年に単行本になったようだ。初訳である。詳しくは下記邦訳リスト参照。

ケストナー作品邦訳出版状況
http://wwwsoc.nii.ac.jp/gsle/95sakkacorner/kaestner1.html

以前、このブログで紹介したケストナーの本。

『雪の中の三人男』(白水社、一九五四年)
http://sumus.exblog.jp/8587250

『ケストナー少年文学全集6 ふたりのロッテ』
http://sumus.exblog.jp/11510206

挿絵はワルター・トリヤー(Walter Trier)。この本には明記されていないようだが、現在も刊行されているので確認できた。

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一九三三年に初版発行ということは、ドイツでヒトラー内閣が成立した年にあたる。中学生と教師たちを描きながら、友情と正義について、こんなにもはっきりと語る作品に、当時どのような意味があったのか。どのような影響力をもったのか。考えさせられる。

《「なぜ君はとめなかったんだ?」
「あんまり大ぜいだったんです」と、ウリーが空中から説明しました。
「おこなわれた一切の不当なことに対して、それをしたものに罪があるばかりでなく、それをとめなかったものにも罪がある」と、教授は説明しました。「この文章をめいめいこのつぎの時間までに五へんずつ書いてこい。」
「五十ぺんですか」と、ゼバスチアンがあざけるようにたずねました。
「いや、五へんだ」と、教授は答えました。「一つの文章を五十ぺんも書けば、しまいにはまた忘れてしまう。ゼバスチアン・フランクだけは五十ぺん書け。文章はわかってるか、マルチン?」
 マルチンは答えました。「おこなわれた一切の不当なことに対して、それをしたものに罪があるばかりでなく、それをとめなかったものにも罪があります。」
「その通りだということを心得ていれば!」と、教授は言い、うしろにもたれました。》

こまかい説明は省略。読んでもらえば分かる。
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by sumus_co | 2011-02-05 21:54 | 古書日録
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