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ノミトビヒヨシマルの独言

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季村敏夫『ノミトビヒヨシマルの独言』(書肆山田、二〇一一年一月一七日、装幀=間村俊一)。発行日に季村さんの想いを見る。『たまや』や『coto』などで拝読していたものもあるが、一冊にまとまると、パワーが違ってくる。内容については、読んで下さい。適当にまとめると、とんだ誤読を引き起こしかねないので(汗!)。

「ノミトビヒヨシマル」は印象的な単語である。《『ツァラトゥストラ』の序説に出てくるノミトビヨロイムシを連想させるが、微小な息となって生き延びるところは似ているのかもしれない》(あとがき)とある。さっそく『ツァラトゥストラ』を取り出してみた。以下該当箇所。ただし登張竹風訳。

《「愛とは何だ。創造とは何だ。欣求とは何だ。星とは何だ。」ーーそのやうに下品下生は問うて、そして瞬目する。
 その時、地は小化する。地の上には一切を小化する下品下生がぴよんぴよんと跳ぶ。その種属は蚤のやうに駆除し難い。下品下生は寿命が最も長い。
「私共は幸福を発明した、」ーーと言つて、下品下生は瞬目する。》

ここに「ノミトビヨロイムシ」(吉沢伝三郎訳)は登場しない。単に「蚤」である。原文はどうなっているのか。「Also sprach Zarathustra」の序(Zarathustra's Vorrede.)より。

»Was ist Liebe? Was ist Schöpfung? Was ist Sehnsucht? Was ist Stern« - so fragt der letzte Mensch und blinzelt.

Die Erde ist dann klein geworden, und auf ihr hüpft der letzte Mensch, der Alles klein macht. Sein Geschlecht ist unaustilgbar, wie der Erdfloh; der letzte Mensch lebt am längsten.

»Wir haben das Glück erfunden« - sagen die letzten Menschen und blinzeln.

(引用テキストは Gutenbergprojekt lesen より)

「Erdfloh」はこんな虫のようだ。「蚤」でないことはたしかだが「ノミトビヨロイムシ」と同じなのかどうかは専門外なのでよく分からない(日本語ノミトビヨロイムシで検索した学名と Erdfloh の学名は一致しない?)。門外漢としては「ハムシ」としておく方が無難のような気もするのだが、それでは季村敏夫さんの詩集のタイトルは生まれなかったことになる。

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『如是説法ツァラトゥストラー』(山本書店、一九三五年一二月八日、装幀=青山二郎)。

  ÷

田村さんの詩集(散文)『少女原写真』の粗雑な解釈について、読者の方よりご指摘をいただいたので、「友の死を語った散文詩」という紹介を、愛について、と変えたのだが、実際には友の死をいたむ方が近かった。「彼」と「わたし」という二人の人物の関係が「わたし」の独白によって語られる構成で、「彼」は入院している。その間に「わたし」は「彼」の住んでいる部屋に入る。「彼」は病院からいなくなる。そして引用したような死に関するエピローグが置かれている。

「友の死を語った散文詩」ではないというご指摘に、もう一度読み直すと、たしかに「彼」が作者に思え、「わたし」が女性のように読めた。だから「愛」となったわけだ。ただ文中に「甥」と間違えられてそのまま否定しないという箇所があって、そこだけが気になったのだが、虚構としてひと捻りしたのかなというふうに深読みしてしまった。「彼」が作者なら死んではいないわけだし。

しかしやはり「友」でよかったようだ。素直に読んで「わたし」が田村さんなのだ。厳密に言えば「友」というのとは少し違うようだが、その年長の「彼」に対して人としての「愛」を感じていたのも間違いないだろう。……二度も読んだので、かなりいい作品のように思えて愛着が湧いてきた。多くの人たちに『少女原写真』を読んでもらうのがいちばんいい。田村治芳作品集でも企画していただけないものか。
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by sumus_co | 2011-01-11 20:29 | 古書日録
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