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科学ペン/PCL

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『赤と緑』を読んでいると《「柘榴」のエッセを書く為に「科学ペン」が一部見本に贈られた。飛ばし乍ら色々な頁を読んだ。中には科学者が大変面白く科学を随筆しているのもあつた》などと出ていた。『科学ペン』と言えば、創刊号を持っているとなと思いついたので取り出してみた。

編輯兼発行人は長田恒雄(おさだ つねお)。モダニズム詩人の長田であろう。発行所は三省堂、一九三六年一〇月一日、表紙は片野一男。創刊の中心人物は式場隆三郎のようである。三省堂から科学ペンクラブと発行所を変えて一九四一年一二月号まで発行され、その後は『科学思潮』となったようである。創刊の経緯が日記抄として掲出されているので引用しておく。

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興味を惹くのはP.C.L.トオキイスタヂオの口絵写真と訪問記事だ。

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その「研究室ハイキング(1)P・C・L訪問」をかいつまんで要約しておく。内容は植村所長の談話である。

オリエンタル写真工業の取締役をしてた植村泰二はドイツで写真化学を研究しているドクター・キーザーの助手となって学んだ。

写真化学研究所を設立すべく帰国したが、オリエンタル写真工業の重役会ではねつけられてしまった。そこで増谷麟と有賀の二人の同志を得て砧村(現・世田谷区成城)に研究所を建てフィルムの現像を始めた。

そのうちトーキーが発達してきたので、日本で完全なものを作ろうと十万円の匿名組合を起こしてトーキー製作を始めた。なんとか形になってきたころに日活などから依頼を受けてトーキーを作ったりした。百万円に増資して写真化学研究所が確立した。

P・C・L(Photo Chemical Laboratoryの略)という名称は昭和六年初めてトーキーを作ったときに増谷が提案した。

P・C・Lには写真化学研究所と映画製作所が含まれているが、内部組織ははっきり区別されているし、経済的にも別になっている。《映画や録音は他の会社や内務省、観光局等からの依頼のものもあり、P・C・L自体で作るものもあつて、現在までの製作数は三千本である。》

現在、五百名の人々が働いている。《最近録音のシステムの一部分で、テデイレーターの特許をとつて、アンプリフアイヤー、マイクロフオン天然色映画も出来るやうになつて、ある映画には部分的に使つてみたが非常に成績がよかつた。又、一方十六ミリトーキー・撮影機も出来る。これから大いにやりたいものの一つは文化映画の製作である。》

等々。この後、植村所長はいろいろと抱負を語っているが、結局は一九三七年九月一〇日にJ.O.スタヂオおよび東宝映画配給と合併して「東宝映画」が設立されることになる。

ちなみに瀧口修造の年譜(瀧口修造文庫ウェブサイト)によれば、一九三二年、《PCL(写真化学研究所)が映画製作所となり、入社してスクリプターとなる。》としてあるが、厳密に言えば、研究所と映画製作所は別の組織だったようだ。瀧口の退社は一九三六年の二月頃だそうだから、この写真のスタジオに通っていた時期もあったろう。
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by sumus_co | 2011-01-07 21:03 | 古書日録
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