MAKINOさんより今年最初の書物メールを頂戴した。
《正月は台北で過ごし、『影宋刻本論語』を買いましたので、
昨年5月の「銅活字本論語」に続いて、紹介します。「影宋刻本」と銘打っていますが、いわゆる普通の影印本ではありません。宋刻本『論語集注』から「影刻刷印」したといいます。つまり、写真複写したものをオフセットなどの平版で刷ったものではなく、いったん、凸版(たぶん木版)に刻して印刷したものです。奥付きによると、作成は、彫版は陳義時(「彫版工藝大師」だそうです。書法精妙、彫刻伝神で、宋版書の神韻を再現するとのこと)で、印刷は揚州廣陵書社彫版印刷伝習所です。廣陵書社の2008年7月発行、定価350人民元ですが、台北では2100台湾元(=6300日本円)の10%割引で買いました。
なかなか風情のある刻字ですが、銅活字本での林さんの評語のように、これもいささか摺りが甘いのが惜しまれます。銅活字本は藍色、これは紅色と、へんな色のインクで刷っていて、うまく版に乗っていません。ちゃんとした墨で摺ればよいのにと思います。
なお、ごらんのように、元の宋刻『論語集注』から注を取り去って本文のみを版に起こしていますので、もちろん写真複写による影印ではないわけです。》
なるほど。たしかに墨の方がいいですよねえ。『論語』もとにかく版本は多いが、宋刻というのが古いらしい。もっと古いところでは石経といって石に彫ったテキストを拓本で刷り取ったものがあるようだ。双白銅文庫(小生架蔵の200円の和本コレクションを仮にこう名づける)のなかにも次のようなものが見つかった。
『論語集註』江戸
『四書 論語』(文化十三年=1816 という落書きあり)
また、手近の古書目録をめくってみると、明と朝鮮の刊本が出ていた。庚辰(かのえたつ)はいつだろうか。
『四書 論語』明
『論語集註大全』朝鮮本 庚辰
ついでにいくつか論語の書影をリンクしておく。宋刻本『論語集注』というのがすぐには見つからなかった。
◉日本において儒教経典が印刷された最も早い本とされる
正平本『論語』正平19年(1364)刊
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朱熹撰『四書集注』清内府仿刊宋淳祐本
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国立故宮博物院蔵『論語集解』元代初期覆刻