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桑島玄二詩集

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桑島玄二の初期の詩集がようやくここまで集まった。左から

・少ない雨量 エバンタイクラブ(広田善夫、西脇市)昭和三〇年六月一日
 装幀=津高和一
・工業の周辺 蜘蛛出版社(君本昌久、神戸市)一九六二年四月一日
 装幀=貝原六一
 http://sumus.exblog.jp/11732762
 http://sumus.exblog.jp/10917227
・今日の契約 エバンタイ・クラブ 昭和28年3月25日
・目測について 巨離社(野口正一、尼崎市)昭和27年4月10日
・竹薮 天秤パブリックス十九番 天秤発行所(伊田耕三、神戸市)昭和五十年十月一日
・輪 72 桑島玄二追悼号 輪の会(伊勢田史郎、神戸市)1992・11・10

『工業の周辺』と『輪』はMさんより譲っていただいた。『目測について』と『竹薮』は街の草さんで。『今日の契約』は某書店目録、『少ない雨量』は「日本の古本屋」より。これ以降は理論社、書肆季節社、編集工房ノアなどから刊行されており、比較的手に入りやすい。『sumus』12の「書肆季節社と政田岑生、そして桑島玄二」にリストを掲げているので参照されたし。『兵士の詩』、『白鳥さん』、『つばめの教室』、『近代文学遊歩』、『物言わざれば』が未入手。それらは評論などで、詩集に関してはすべて手許に集まった。

と思ったのだが、『目測について』のあとがき「ノウト」を読むと、

《戦い終つて間もなく、私は私の失つた年月と奪われた友達のためにのみ、百頁ほどの詩集を刊して、それに「錬金術」と名づけた。そのような名前を好むほどすこぶる中世的に、焦土の首都を彷徨していた。その頃といまと、すこし違う。
 ただその折、その詩集を飾つてくれた、杉山平一氏と衣更着信氏の美しい文章が、印象づいていて去らない。》

などと書かれていた。『錬金術』! まぼろしの詩集がまだあったのか。さらに、ご教示によれば、それだけじゃなくて『即興風に』(卓子くらぶ、昭和19年5月1日)までもあった。これはまだまだコンプリートの道は遠いようだ。『目測について』より「わが速度と速力について」の冒頭。

 凪の近く
 桃の花咲く
 古い里に生うて
 来る日も来る日も 額を切つた
 あの 錆びた秩序を
 いまこそ 黒い帽子とともに捨てれば
 髪は透いて 陽の傍で 炎え
 降りしきる新しい時間は
 わが皮膚に触れて 音たてて熟れた
 熱い肢体で
 砂を駆けあがる
 そのための姿勢に 速力を満せよ

『輪』72号より桑島の年譜(丸山創一)をかいつまんで引用しておく。

一九二四 五月一日 香川県大川郡白鳥町松原(現・東かがわ市)に生まれる。
一九三七 香川県立大川中学(現・三本松高校)入学。
     先輩に衣更着信がいた。
一九四四 高松高等商業学校(現・香川大学)卒業。
     いすず自動車入社。応召。陸軍航空通信隊で終戦を迎える。
一九四七 いすず自動車退社。金井重要工業入社。
一九五九 金井重要工業退社。自宅裏の工場で自営。
一九六〇 義兄経営の白鳥の手袋製造業・橋大商店の共同経営者となる。
一九六四 橋大商店倒産。広島の丸高建設入社。
一九六九 丸高建設倒産。大阪の高島屋工作所に移る。堺市に住む。
一九七六 大阪芸術大学非常勤講師。高島屋工作所退社。
一九七九 同専任講師。
一九八四 同助教授。
一九八五 同教授。
一九九二 五月三一日肝不全のため逝去。

同郷の詩人である衣更着信が『工業の周辺』の跋として「詩人の周辺」を執筆しているが、そのなかに中学時代の桑島がボン書店鳥羽茂を崇拝の的としていたと書かれている。おそらく、そのためではないかと思うが、石神井書林の目録から桑島の詩集を買ったとき、内堀さんが桑島本人にボン書店について尋ねたことがあるというようなメモを添えてくれた。そう言われると、処女詩集(?)である『目測について』など、どことなくボン書店ふうの姿かな、と思ったりもする。衣更着は跋文をこう締めくくる。

《桑島玄二が歩いた道には常に息苦しさと抵抗感が満ちている。学校、軍隊、工業ーどこへ行っても、かれはそこにやすやすととけこめた人間ではない。にもかかわらず、学校では優等生、軍隊では経理部幹部候補生、そして、工業ではトツプ・マネジメントのユニークなひとりである。与えられた息苦しい環境のなかで、かれは自分と闘うことによって生き、成績がそれについて行く。しかし、その闘志はどこから?》
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by sumus_co | 2010-12-30 20:56 | うどん県あれこれ
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