天野忠『詩集 昨日の眺め』(第一芸文社、一九六九年一〇月一日、212×156mm、91pp、装幀=中塚勝博)。カバー、表紙、奥付。第一芸文社については『書影でたどる関西の出版100』(創元社、二〇一〇年)の山本善行による記述をご覧いただきたい(その図版のひとつに山村順『枠』が出ているが、これは湯川成一さんから小生が頂戴したもので、山本氏に譲った想い出の一冊)。中塚勝博は社主である。
この『昨日の眺め』もやはり某氏より頂戴した。珍しい本だと思う。有難きことこのうえなし。作風としてはニヒルで重い感じが徐々に裏返ってくるような過渡的なものではないかと思う。ここを通過すると例の軽々としたヒューモアが漂ってくる。
「あとがき」より
《五十才になったとき、ギャッと叫び度くなった程、自分の在りように驚いた。六十才になった今、オヤオヤと思うばかり。そしてあたりをソロッと見廻したりしている。このごろ少しばかり、躰に肉がついてきたような自覚がある。生れて初めてのことで、これもオヤオヤと思う。そして何だか妙に手持ぶさたで、肉親の顔をまじまじ見たりする。》
今、見返しをふと見ると「忠」と細めの万年筆で目立たないように書かれている。ご本人のサインか? よし!
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今年は引越以来三年振りに本を大幅に処分した。そのせいでもないが、そのせいもあるが、古本を買った冊数も例年よりは少ないと思う。うれしかったものベストテン選んでみた。
・小さな町 小山清
http://sumus.exblog.jp/13629204
・江戸庵句集 籾山仁三郎
・俳文評釈 坂本四方太
・今日の契約 桑島玄二
・テリア犬の知識
http://sumus.exblog.jp/14345965/
・川上氏りいどる絵本 川上澄生
http://sumus.exblog.jp/14471418/
・本の話 由起しげ子
http://sumus.exblog.jp/14589910/
・LOGIQUE DU SENS, G.DELEUZE
・マゾヒストたち トポール
http://sumus.exblog.jp/13267600/
・大沢昌助絵葉書
http://sumus.exblog.jp/13787253
ドゥールーズはミニュイ版三冊五百円だったから。このなかでいちばん高額な買物は『今日の契約』(!)。桑島玄二単行本コンプリートにはまだまだ……。
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急用ができてしまい、明日からしばらくブログを休ませていただきます。たぶん一週間くらいになると思いますが、みなさま善き年末をお過しください。