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中年や遠くみのれる夜の桃

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先日、湯川さんが所蔵しておられた短冊(http://sumus.exblog.jp/14394187/)のことに触れた。それがこれである(むろんコピー)。スキャナーに入らないので、カメラで撮るよりもいいかと思って二分割にした。あの記事を書いた後、ある読者の方より次のようなご教示を頂戴した。

《旧蔵者は永田耕衣です。永田さんが三鬼に直接書いてもらったものだということでした。昭和21年頃に三鬼は、永田宅に行った筈です。石田波郷も一緒にです。その折にサインした石田波郷の句集を持っています。

永田氏没後に関係者の手許にあったのを拝見してのどから手が出るほど欲しかったのですが、やはり湯川さんの所に行ったのでした。

決してあの短冊は、湯川さんの贋作では有りません。来歴正しいものです。》

そういう来歴でしたか! もちろん湯川作の偽筆と疑ったのはジョークというか負け惜しみである。『西東三鬼の世界』(『俳句四季』別冊、東京四季出版、一九九七年)の齋藤愼爾による年譜を見ると、昭和二十二年《五月、松山へ帰省途次の石田波郷に同行して京都の山本健吉、永田耕衣らを訪ねる》とあり、永田は《西東三鬼の盛名にひかれて、神戸の三鬼館を初めて訪ねたのは昭和二十二年だったか。》と「三鬼讃鈔」に書いている。

三鬼は三十八歳まで歯科医師だった。俳人くさくない、ぶっきらぼうな書きぶりがいい。同書にのっている自註(初出は『三鬼百句』現代俳句社、一九四八年)には夜の桃についてこう書かれている。

《中年というのは凡そ何歳から何歳までをいふのか知らないが、一日の時間でいへば午後四時頃だ。さういふ男の夜の感情に豊かな桃が現れた。遠い所の木の枝に。生毛のはえた桃色の桃の実が。》

やっぱり、解説してはつまらない。

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『西東三鬼句集』(角川文庫、一九六五年八月三〇日)。これはそこそこレアーな文庫本である。元パラ帯付きの状態で50円で見つけたときには嬉しかった。

  
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by sumus_co | 2010-12-07 21:35 | 古書日録
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