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四葉の苜蓿

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里見弴『四葉の苜蓿』(プラトン社、一九二四年一月五日再版、装幀=山六郎+山名文夫)。扉絵のサインが「ARO」と読めるような気がする。「R」は左右反転しているみたいだ。アヤオとロクロウ?

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苜蓿(小山清の『小さな町』および『ガールズ・スタンダード・リーダー』参照)は本文に「うまごやし」と「クローバー」と両方のルビが見られる。高等教育を受けた新しい奔放な女が打算的な結婚を決めるまでのラブ・アフェアーが描かれており、結婚前夜に童貞の恋人と寝るという結末になっている。「幸運の四ツ葉のクローバー」文献としてはナポレオンの故事が引かれていて注意に値するだろう。

話は変るが、何故か西田幾多郎の『善の研究』について書かれた本を装幀することになり、初稿ゲラを読んでいたら、つぎのような一節にぶつかった。何十年も前に一度読んだようなおぼろげな記憶がある。

《次に何故に愛は主客合一であるかを話して見よう。我々が物を愛するというのは、自己を捨てて他に一致するの謂である。自他合一、その間一点の隙間なくして始めて真の愛情が起るのである。》

そして昨日この『四葉の苜蓿』を読んでいたらこんなくだりがあった。

《隼夫の溜息に続けて、答へるやうに、彼の女も溜息を洩らした。それから青年の擾乱は、益々狂はしくなつて行つた。同時に彼女の麻痺感も鋭く痛くなつて行つた。二人の間にはもう空間(すき)はなかつた。どこか体の一部分が繋がつて生れた畸形な双児のやうに、同じ脈博で生きてゐた。》

プラトニズムを連想させる描写で里見が『善の研究』を読んでいたのかどうかは知らないが、ちょっと面白い類似ではないだろうか。
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by sumus_co | 2010-11-28 21:54 | 古書日録
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