林蘊蓄斎の文画な日々
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EVERYMAN

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A.C.CAWLEY『EVERYMAN』(MANCHESTER UNIVERSITY PRESS,1968, 初版は1961)。蔵書整理をしていると『プリンス通信』265号(Omego Verlag, Tama、二〇〇〇年一月七日)がペラッと現れた。そこにはこう書いてあった。

イギリスのクラッシクスの叢書に Everyman's Library というのがあり、わが国の岩波文庫に並列的であるとして

《岩波茂雄の名で発布されている発刊の辞(実は三木清起草)の冒頭「真理は万人によって求められることを自ら欲し、芸術は万人によって愛されることを自ら望む。」の中の、「万人」が、everyman に呼応しているような印象を与える。したがってここの「万人/everyman」は「すべの人みいんな」といった意味に解される》

と述べた後、だが実際は《エブリマンとは有名な道徳劇のタイトル》だと書かれたものを読んだので《道徳劇のエブリマンは、みいんなという意味ではなく、平々凡々などこにでもいる平均的なしとって意味》と思って版元に問い合わせると、やはり道徳劇(morality play)の次のセリフに基づくという返事をもらったそうだ。

 Everyman, I will go with thee, and be thy guide,
 In thy most need to go by thy side.

 http://www.randomhouse.com/knopf/classics/about.html

これはエヴリマンズ・ライブラリー(ランダムハウス社)のサイトにも掲げられている文章。ただし本書の底本(ハンティントン・ライブラリー所蔵本)ではこうなっている。

 Eueryman, I wyll go with the, and be thy gyde,
 In thy moost nede to go by thy syde.

中世英語(十六世紀だが)のつづりは面白い(!)。要するに、エヴリマン氏(江分利満氏!)は死出の旅路へ上ることになったが、誰も一緒について行こうとは言ってくれない(当り前である)。「友」はもちろんのこと「財産」も「美」も「強さ」も。結局、この優しい言葉をかけてくれたのは「知識 knowlege」だけだった。

タイトルページの蔵書印は「雲山書楼」。口絵は左の紳士がエブリマン(Eueryman)で右が「死 Dethe」。先日もちょっと触れた知恩寺で放出されていた英書群のなかから拾い上げた一冊である。
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by sumus_co | 2010-11-09 21:22 | 古書日録
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