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野見山曉治展

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個展が終わって、一息、ただいま本箱の整理中。引越以来の大騒動なり。芦屋の古本市にはパーッと放出する予定。で、この図録を見つけた。『野見山曉治展』(北九州市立美術館、一九八三年)。初めての回顧展だという。野見山の序にこうある。

《回顧展というのは,画家の今日までを振り返って眺める催しかと思い込んでいたのは迂闊だった。
 実は,画家の傍にぴたりと寄りそい,絶えず唆かし,画家がどんなに,さよなら,をしても決して離れてくれないあるイキモノの,その正体をあばいてみせる企てだったのだ。》

野見山さんにも一度お会いしたことがある。一九八一年の秋(?)だったか、これはもうどこかに書いたかもしれないが(書評のメルマガ 2005.01.16 でした)、銀座での友人の個展会場で、教え子の展覧会にもめったに姿を見せないといわれていた野見山さんがいらした。その友人は武蔵美出身ながら芸大大学院の野見山教室を受験したことがあった。たぶんその絵が気に入られたのだろう。個展会場にいた数人の仲間たちと野見山さんはしばらく歓談されたが、とても気さくな方とお見受けした。

小生は『パリ、キュリィ病院』(筑摩書房、一九七九年)を読んだところだったので「小説のほうはともかく、表紙の絵がとてもよかったです」などとチョー生意気なことを言ったのだった。実際、じつに暗澹たる小説であった(そのとき以来再読はしていない)。野見山さんにとっては書いておかなければならない、逃げられない作品だったに違いない。されど、読まされる方はいろいろな意味で辛い作品だ。ここにも《イキモノ》が息づいている。

読み返してないつもりだったが、じつは「書評のメルマガ」に『パリ、キュリィ病院』を取り上げたときに再読したようだ。お閑な方は読んでみてくだされ。

http://back.shohyoumaga.net/?day=20050116

年譜をよく見ると、一九八一年一〇月一一日〜一七日に開催された「午後の会」(銀座・ギャラリー玉屋)に「空飛ぶ帽子」を出品しているとあった。友人が個展を開いていたのはこの玉屋のアネックスのような画廊だったから、タイミングがよかったのかもしれない(断定はしないが)。この年の春に芸大を退官され、引き続き講師(客員教授)をつとめておられたようだ。

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年譜の脇に掲載されている写真を二点引用する。一九五三年一月九日にマルセイユに到着し、翌日パリのシテ・ユニベルシテールに落ち着いた。この年、椎名や金山(リュクサンブール公園での写真左)と知り合った。他には、田渕安一、岡本半三、飯島一次らと親しくしていたようだ。

 ÷

午後三時すぎにファックスが届いた。「町の本屋」という詩がズズズズと現れてきた。池井昌樹の新詩集『母家(おもや)』(思潮社、二〇一〇年九月三〇日)。一枚目だけアップする。

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 泣いてしまいました。
 昌樹さんに、泣かされました。

と書き添えられており、略歴の《一九五三年香川県生れ。》に矢印が刺さっていた。小生より二歳年長の同郷の詩人ということになる。《昭和28年、香川県坂出市生まれ。歴程同人。二松学舎大学文学部卒》(ウィキ)。現代詩文庫も数えて十六冊目の詩集というからかなりなものだ。受賞も数々。現在活躍中の詩人には全くうとい方なので初めて知る名前だった。書店員をしていたという経歴もあるようだから、この詩はそういう意味でも味わい深い。ま、泣きはしませんでしたけどね。

ふつう「おもや」は母屋。源氏には「もや」ともあるらしいが、万葉集で「おも」は「母」または「乳母」、だから母屋。単純にオモニ(韓国語で母)との関連を考えたくなる。
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by sumus_co | 2010-10-19 20:35 | 古書日録
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